今日も 来て しまった

おいしく食べて、温かい布団で眠る。しあわせのかたちを考える日々の記録

麺喰らう(その 953)つけ麺

 

そういえば,小麦の味ってどんなだろう。米ならば、白米をよく噛むと甘みが出てくるけど、小麦粉はかなり細かな粒子にしてから加工されるので、少しわかりづらい。

 

それでも、全粒粉のパンは風味があるし、デュラムセモリナを用いたパスタも然り。精白された讃岐うどんも、小麦の吟醸といえる、少し甘いような旨みが感じられる。

 

稲や麦などが広まったのは、実はヒトが穀物に操られているからという説もある。気候変動も人類視線では問題だけど、穀物からすれば望むところなのかもしれないな。

 

とか思いつつ、本日は小麦の風味がよく味わえるつけ麺を。食券を出すと「並にしますか、中盛にしますか」と聞かれる。思わずどちらが多いのか聞くと、中盛だとか。

 

腹八分目で並を頼むも、後客たちは確認することなく並か中盛を選択している。どうやら世間では中盛>並は常識らしく、己の不明を恥じる。日本語、ムズカシイネ。

 

最初はまばらだったカウンターが満席になるころ、つけ麺の到着。ごんぶとの麺はツヤツヤと輝き、なるほどこれだけ太ければ茹で上がりに時間がかかるわけですね。

 

まずはそのまま1本すすってみる。冷たく締められた麺は弾力がすごく、口の中でプチっと弾けます。焼きたてのパンを食べるときのような、香ばしさが小麦の味だね。

 

ご自慢のつけだれには、バジルだろうか、緑の輪が描かれている。チラリと舐めればやはりバジルで、鶏白湯と魚介のトロリとしたつけだれは少しざらざらした舌触り。

 

ここに麺を半分ほどつけて、ズズっと啜りれば小麦の香りとたれの旨みが同時に押し寄せる。ふた口目は、たれにどっぷり浸して啜ると、馥郁たる香りが鼻腔を満たす。

 

姫竹のメンマはサクサクで、トロリと脂の溶ける叉焼も抜群においしい。お酢やラー油で味変しつつ食べると、中盛でよかったと後悔するほどあっという間に完食です。

 

まだなみなみとつけだれが残っている。レンゲはあるけど、これはラーメン用かな。どこにも貼り紙はないけどスープ割りは貰えるのかな。そんな逡巡がかけめぐる。

 

迷ったときは,なるべく人の矢面に立たないというポリシーのもと、たれに後ろ髪引かれつつ、未練を断ち切るようにグラスの水を飲み干し、カウンターに下膳する。

 

ごちそうさまでした。