ぼてぢゅうを初めて食べたのは、忘れもしない小6だった。金沢に109ができたので珍しく家族総出で出かけて、これまた珍しく外食した、盲亀浮木のような出会い。
メニューは覚えていないけど、ソースとマヨネーズに彩られた、ふわっふわのお好み焼きは衝撃だった。これが本場大阪の「お好み焼き料理」なんだな、と感心した。
昭和はレシピ本も少なく、まして地方の名物料理などは口伝が中心だった。実家のお好み焼きは豚肉を生地に練り込んでおり、火を通すためカッチカチに焼かれていた。
ぼてぢゅうの由来は「ぼて」っと返して、「ぢゅう」と焼くかららしいけど、実家ではさらにギュウっと押さえるという工程がありました。ぼてぎゅう、だったわけだ。
味の決め手はオーロラソース。マヨネーズとケチャップをひたすら混ぜたっけ。ぼてぢゅうは今でも食べられるけど、実家のお好み焼きはもう決して食べられないのか。
そんな思い出とともに、かき玉そばをいただく。そばといえどモダン焼きではなく、どうやら広島のお好み焼きです。季節感と亜鉛を求めて、かき入りにしました。
目の前ではなく、厨房で焼き上げられたお好み焼きが運ばれてきます。火が通り過ぎる心配はないけど、ソースの焦げる匂いが感じられないのは、ちょっとさみしい。
小ぶりなコテで格子状に切り分け、端から食べていく。ソースの馥郁たる香りが鼻腔を満たし、そばのカリッとしたところや、キャベツのクタッとしたやつがいいね。
あえてコテで食べるのが、イベント感があって好ましい。真ん中に差しかかれば、当たり前だけどかきがごろごろ入っており、その旨みでビールが進んで、嬉しい悲鳴。
周りも家族連ればかり。大口をあけて、ソースや青のりで口が汚れるお好み焼きは、確かにデートよりもファミリー向けですね。思い出とともに、心身お腹いっぱいです。
ごちそうさまでした。