今日も 来て しまった

おいしく食べて、温かい布団で眠る。しあわせのかたちを考える日々の記録

麺喰らう(その 22)ちくわ天そば+玉子

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食券のいいところは、注文を取り間違う可能性が低くなるところ。あと、店員さんが会計をしないから、清潔面や実務面からも好ましいかもしれない。最近はスイカ対応の店も増え、確かに便利になりました。


しかし一方で、入店していきなりメニューを決めなければならないという努力を客に強いるし、吉野家などは客とのコミュニケーションが減るから食券にしないともきく。


それに小規模な店では自販機のリース代もバカにならないし、メニューの融通性を考えると、一長一短ですかね。


「ちくわ天に玉子で」

立ち食いそば屋さんのカウンターでそう言えば、復唱とともにメニューが供される。カウンターに500円玉を置いてお釣りを受け取り、お盆を持って席につく。

まあ、シンプルながら無駄のないやりとり。


おっ、ここのちくわ天はよく見かける縦半分タイプではなく、まるまる一本ですね。ストローみたいに吸ったらツユが飲めるだろうか?  いややけどするかな。

などと愚にもつかないことを考えながら食べていると、後客が二人連れでやってくる。


「えーっと、おそばで、かき揚げで、大盛り。あと、おそばで、かき揚げに玉子」


なるほど、この店はうどんも出すから、わざわざ「そば」と限定したほうが間違いがないのかもしれない。


とはいえ、一人が二人前を頼んで、それも似たようなメニューなので、確認と復唱に店員さんが戸惑っている。おそば、という接頭辞がついたことでリズムがズレたのかもしれないし、声が同じなのも混乱のもとかも知れない。


「大盛り? 盛りそばですか」と聞き直すや否や、

「あと大盛りのほうはワカメ抜いて。のってるでしょ、ワカメ」と追い討ちがかかる。


映画タンポポでは、主人公が多くの客のメニューを覚えて感心される場面がありましたが、世の中そんなにうまくはいかない。

幾度かのやりとりを経て、どうやら注文も通ったようで、図らずも立会人気分だった私もひと安心。


このコミュニケーションこそ、吉野家の理想像だね!  などと納得、ツユで半熟になった黄身をひと口で飲みこんで完食。

なんとなく、足早に退店しました。


ごちそうさまでした。