富士には月見草が似合うように、酒のシメにはラーメンが似合う。
理由はシンプルで、アルコール分解⇨血糖値が低下⇨脳が空腹とバグを起こす⇨手っとり早く糖質を補給。メカニズムはわかってます、でも、だますよりも、だまされたいんだ、僕ぁ。
さて今宵は、晩酌のお供としてのラーメン。むしろ、ラーメンのお供としての晩酌と言うべきか。
ラーメンだけならランチと同じ。晩ごはんなんだからもうちょっと色気がほしい。ビールかな、うん、ここはビールだなという、日常からの逃亡。小さな反逆心。そう、ボニー&クライド。
仕事終わりのベルに囚われのココロとカラダを解き放ったら、まずはビール。
でも、わざわざ居酒屋でお通し代払ってまで飲みたいわけではない、やや低めのビール欲。それをいかに満たすのか。けっこう悩みます。小さな、幸せな悩みです。
今日は一杯どうだ? なんて若いのに気軽に声をかけて宴会にもちこむようなご時世ではない。それでは財布が続かない。
かといって、家でダラダラ飲むのは家族の視線も気になる。父さん、疲れてるんだとか言い訳したいけど、それなら早く風呂入って寝ろ、という正論が返ってきたりする。
そんな世のオジサンのプチ晩酌需要。見えないけど、確かにそこにあるうずまく欲望。それを牛丼屋、そば屋、ラーメン屋などが見事に拾う。マーケティングの確かさにしびれる、憧れるぅ!
そんなこんなで、ラーメンとビール。いや、ビールとラーメン。ポイントだから言い直してみる。
まずは、スープをゴクッとひと口。魚介ダシのきいた、おいしいヤツだ。これはビールに合う。
そして、麺をスルリとひと口。小麦の味がしっかりした、おいしいヤツだ。これもビールに合う。
いくらスープに浸かっても崩れない海苔、八角のきいたチャーシュー、コリコリのメンマ。どれもこれもビールに合う。
ただ、お上品な店なので、特製なのに具の絶対量が心もとない。そろりそろりとビールを飲み終えるころには、丼ぶりには麺とネギが居残りするのみ。
こうなるとやることはシンプル。無心に麺をすするのみ。そう、えぐりこむようにすするべし!
スッ、スッ、スッとリズムを刻んで食べ進めると、やはり汗をかいてくる。グラスの水でリズムを変えて、再びスッスと食べ進め、やがて完食。
これで餃子を食べたりすると、もはや一人宴会、ビールが足りないな。あぶない、あぶない。暴飲暴食はお肌の大敵、などとひとりごちる。
ちょっと足りないくらいの余韻がちょうどいい。家に帰って、缶ビール1本くらいかな。
ごちそうさまでした。