定食の名は、何によって定義されるべきか。
オーソドックスな命名法は、メインとなるおかずを冠にのせた名前だと思います。
刺し身定食、野菜炒め定食、鳥の唐揚げ定食。何でもいいんだけど、おおよそ見当がつく。おそらくメインディッシュにご飯、みそ汁、小鉢がつくのだろう。
そのほか、日替わり定食、A 定食なんかもありますけど、彼らには必ず添え書きがあり、名は体を表すようになっている。ミステリー定食などそうあるものではない。
何にせよ、メインになる料理、すなわちご飯のお供があってこその定食ではなかろうか。そうであってほしい。
なのにメニューから選んだのは野菜サラダ定食。サラダでごはんをモリモリ食べられるのかが課題ですよ。
そもそも野菜サラダって定義はなんだろう。美味しんぼだと、トマトをそのまま食べて至高のサラダとか言ってた気がするな。
ドリカムが歌うはっきりいって簡単なサラダは、レタスだのリンゴだからおかずにはなるまい。ポテトサラダはソースをかければおかずになるかな? まあ、炭水化物ばかりになるけどネ。
ともあれ名前から想像できない一品。淡々とした日常にクサビを打ち込むような緊張感。着々と迫る邂逅の時。ああアムロ、刻がみえる‼︎
やおらお出ましになったお盆の上には、ご飯、みそ汁、ハムサラダ、漬け物、シラスおろし、小鉢(肉ジャガ)。シンプルにして十分な陣容が整ってます。
でも、メインがわからない。野菜サラダはどこまでいってもメインではなかろうに。
小鉢では少なすぎるし、漬け物はあくまで添え物にすぎない。シラスおろしはメインを張る器ではないし、わずかなハムでは主役は重荷だろう。
つまり、団体戦。丼ぶり飯を削っていくのに、ワンフォアオール、オールフォアワンの精神で挑むのだ。こいつはにわかに熱くなってきやがった。
ハム、豚肉、漬け物をフォワードにして押し込み、みそ汁がハーフをこなす。淡白なレタスやシラスおろしは華麗なるバックス陣として駆け回っていく。そう、接近、展開、連続。
ともあれ、瞬く間になくなる丼ぶり飯。戦略がずばりハマりましたね。そう、あくまでよく噛んで、三角食べが基本です。
肝心なサラダはいろどりもよく、百点満点。
トマトは冷たく、レタスはシャキシャキ、ドレッシングも好みの甘酸っぱさ。キュウリは漬け物とかぶっているけど、どちらもおいしい。ゆでたまごの黄身はムッチリとしていて、いいアクセントになる。ハムはご飯の友として、獅子奮迅の働きをしてくれます。
うん、定食が名前を戴くだけはあるかもな。
さて、戦いを終えればノーサイド。箸を置いて渋ーいお茶をすする。額の汗が激闘を物語るネ。
ごちそうさまでした。