通勤地獄とはよく言ったもので、新宿大ターミナルで乗り換える頃には、ひと仕事終えたくらいカラダが疲れてるわけですよ、はい。
クールビズがすっかり人口に膾炙して助かったけど、ネクタイだの、ジャケットだの、この亜熱帯の東京ではもうムリ。
半袖シャツの私ですら言うんだから、間違いない。
さて、そんなヒートアイランド新宿西口、朝から混み合う立ち食いそばへと涼を求める。イスがあるけど、まあ立ち食いそば屋としか言いようがないよね。
見目麗しき冷やしたぬきそばに期待は高まる。まずはツユをひと口。おお、酸味や醤油に振ったタイプではなく、ダシがきいたタイプ。
冷やしではそれほど多くないけど、こいつはうまいネ。さすが立ち食い界の名店、と私が勝手に位置づけてるだけはある。
ワサビに負けない香り高いツユ、
朝だからこそカリカリの揚げ玉、
彩りを添える紅白のカマボコ、
キュウリは夏の空気を運んでくれる。
さらに五割そばがキンキンに冷えていて、渾然一体となって口内幸福がもたらされる。
ツユを吸ってなお角が立つ揚げ玉は最後までおいしく、体の芯から涼が得られる。ワンコインのしあわせ。
あっという間に食べ終えて、ツユを半分ほど飲むと、底から沈んだカマボコが顔をのぞかせる。さながら夏枯れのダムの如し。ふふふ、詩人だナ。
さて、しあわせに浸っている場合ではない。再び通勤地獄に身を投じて、おしごと頑張らねば。
ごちそうさまでした。