冷やしそばを選ぶにあたり、たぬきか、きつねか悩むのはいつものこと。たぬきもきつねも要は油っ気なんだけど、どちらも個性的で捨てがたい。
ゆえに両者相乗りのムジナがお品書きにあれば必ずそれを頼む。きつね、たぬき単体より大体 50〜100 円お高いお値段といった相場かな。
さてさて、こちらの冷やしそばのツユはどんな味だったっけ?
毎シーズン食べて、毎シーズン忘れてるな。まあ、いいや。おいしかったことだけ覚えています。
やってきたのは酸味にかなりのステータスを振ったツユ。こいつは冷やし中華級の酸味ですナ。
そば湯がついてこないところをみると、飲む前提ではないことがうかがえる。
揚げ玉はサクサク、油揚げはしっとり甘い。この両者を同時に頬張る贅沢。朕はどこのお大尽か? なんて勘違い。安いシアワセをしみじみ味わう。
ナルトはもちもち、キュウリは清冽。涼しさとおいしさと心強さがひと皿に盛り込まれており大満足。そうそう、こういうのでいいんだよう。
あらかた平らげ、最後にお皿をすうっと持ち上げて、ワサビとお酢にまみれたツユをゴクリ。
残っていた揚げ玉が口内を幸福で満たす、美しい食事のエピローグ。
ごちそうさまでした。