食事というものは、目で歓び、鼻で楽しみ、舌で味わう、シンプルなものでいい。
有機栽培だの、どこどこ産の肉だの、予備知識があるとさらに違った味わいとなるけどサ。
まあ、それらはなくとも目の前のひと皿がおいしくいただければそれでいいのだ。
しかし、先日図書館で読んだ立ち食いそば読本で、たまに行く立ち食いそば店が紹介されていて、興味深く読んでしまう。
いつもは注文品を待ちながら、朝早くからやってるな〜。男性二人に、おかみさん、どちらかのお嫁さんなのかな〜程度の意識だったんですネ。
そばの味がたしかなのは知ってるので、家族経営で末長く頑張って欲しいな、で十分。それ以上の詮索は必要ないわけで。
ところが本を読むと、わずか数頁ながら店の歴史、厨房の人間関係、役割分担、お客さんへの目線(意外に常連さんを覚えている!)など、いやが応にも情報が入ってきます。
なるほど、三人は兄弟妹なんだ〜とか、そばの味にまったく必要のない先入観とともに、いつもどおりの「もり、かき揚げ」を食べる。気のせいなんだけど、景色が違って映る。
朝なので、とくにサクサクした食感のかき揚げを天つゆでいただく。歯形がキレイについたかき揚げを置いて、そばを麺つゆでツルツルたぐる。
ワサビを入れすぎたので、ツンとくるのを辛抱しながら食べるんだけど、なんか、緊張するな。
今まで「店員さん」だった人たちの素性を知ったがため肩に余計な力が入ってるな、オレ。
マックの店員さんの人となりを知ったうえで、スマイルを強要するような、そんな感じかな。
ともあれ、目の前のひと品は変わらずおいしく、そば湯まできっちりいただく。いつもながら丁寧な仕事が感ぜられてアタマが下がる。
下膳して、出入り口のティッシュを1枚拝借して口をぬぐう。チェーン店も好きだけど、こういう個人店も大好きなので、頑張ってほしいな。
ごちそうさまでした。