名物にうまいものなし。よくいう格言ですが、あまりピンとこない。旅の高揚感でおいしく感じることこそが味のうちなんじゃないかナ。
そもそもわが国は四季折々の食材が食卓に並ぶので恵まれている。まあ、保存がきくのが米くらいだから、そうしなければ食い詰めただけかもね。
ヨーロッパだって、ジャガイモが入ってくる15世紀までは小麦中心だったろうし、農耕と牧畜とのバランスで食文化は発達したのだろう。
何でヨーロッパを引き合いにしたかといえば、こちらが英国パブ風の店だから。ついでに名物どころかうまいものなしと言われるのも英国だから。
そんな英国を代表するひと皿が「フィッシュ&チップス」です。パブのランチ営業で酒盛りしているマダムを尻目に、こちらは芋と魚を待つ。
アイスコーヒーをズルズル飲みながら、大型モニターで流すBリーグを見るともなしに見る。昼間に酒場にいる背徳感はなかなかですね。
そこそこ待つなー。きっと揚げたてなんだろうな。まあ、今どきコンビニでもフライヤーがありますから、ランチ営業で揚げおきはないでショ。
ユニオンジャックの箸袋から箸を取り出し、よくわからん香草をパクリ。うん、食べなくてもいいやつだ、コレ。意外と繊維がかたいよう。
お好みでどうぞ〜と置いていったビネガーは後回しにして、箸でポテトをつまむ。揚げたては最高だネ。そのままでも、ケチャップつけてもグー。
さて、フィッシュ。謎のフィッシュ。踊ろよフィッシュ。なんだろう、ホキ、タラあたりが候補に浮かんでくる。食べたところでわからないけど。
付属のタルタルをたくさんつけて、パクリ。ハフハフ、うまうま。なんというか、のり弁的なおいしさ。衣がフライと違ってかためなのがいい。
当たり前だけど、ビール向けだな、フィッシュもチップスも。パブなんだから自明だけどさ。なんだか下戸気分、孤独なグルメな感じ。
ともあれ、気を取り直してフィッシュ。2つ目はビネガーを試す。なんとも言えない風味が鼻を抜ける。明らかに米酢とは違う、英国の風。
揚げ物オンリーながらも軽めのランチとなりました。英国料理というか、つまみですが、パブ文化ならばビールとともに評価すべきですかね。
まあ、ビールなしでも十分においしいんですけど。名物にうまいものなしは、期待値を勝手に上げすぎたヒトの言い訳なんじゃないのかな。
ごちそうさまでした。