今日も 来て しまった

おいしく食べて、温かい布団で眠る。しあわせのかたちを考える日々の記録

定食春秋(その 272)玉丼

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最後の晩餐に何を食べたいかと聞かれたら、すかさず卵かけご飯と答えます。おふくろの味、妻の手料理、娘の手作りお菓子よりも、卵かけご飯。


卵は新鮮ならばブランドでなくていいね。醤油を加えて軽くかき混ぜておいて、炊き立てご飯をよそい、中央に窪みをつくって、タラリ流し込む。


黄身のコク、白身のトロミ、醤油の香り。それらが銀シャリと渾然一体となって、サラサラとかき込んでは、鼻に抜けていく旨みまで堪能する。


で、そんな卵かけご飯の縁戚と思しき玉丼。カレー丼、カツ丼、親子丼、開化丼、ずらり並んだそば屋のご飯ものでは最安値。だが、それがいい


シンプルだけに、手早く登場する玉丼。そばつゆで半熟に煮立てられた卵は見目麗しく、海苔の香りとも相まって、食欲がかきたてられますナ。


まずは、ひと口パクリ。甘いつゆの味がしみる。黄身と白身の食感の違いも楽しく、歯が要らないどころか、ストローで飲めそうなふわふわ感。


もりもり食べれば、もっちりのかまぼこがコンニチワ。木の葉丼を名乗らないのが奥ゆかしさ。シャキシャキの玉ねぎの食感も嬉しいアクセント。


味のしみた上層、つゆダクの下層、比較的白いままの中層。地層別のご飯の味わいもまた、楽しからずや。初めて食べたけど、大当たりですね。


七味をパラリとふれば、途端につまみになりそうな大人風味。香の物で舌を整えて、ひと粒残さずご飯を食べ尽くす。食後の熱い番茶も嬉しいね。


卵かけご飯の上位互換と思ったけど、卵かけご飯が釜玉うどんなら、玉丼は味噌煮込みくらい方向性が違ってました。でも、玉丼もまた食べたい。


ごちそうさまでした。


しばらくは、孤食のグルメ&お蔵出しです。