漢字が並ぶと文章が黒っぽくなり、難解そうなイメージと共に、意味ありげな雰囲気がもたらされる。愛羅武勇だって初めて考えた人は発明です。
北斗七死星点とか、超究武神覇斬なんて男ゴコロをくすぐられますよね。なんなら禁中並公家諸法度なんて語呂がいいので、これもまたときめく。
土鍋麻婆豆腐を待ちながらそんな夢想をする。中華料理なら当然漢字ばかりになるわけで。醤爆鶏丁とか、食べたことないけど、強そうですよね。
さて、朝晩はまだ冷え込む季節の変わり目。こんな気候だと、食事くらいはっきりさせたく、胃に喝を入れたい。そんな想いを込めての麻婆豆腐。
土鍋はグツグツとマグマのように煮えたぎる。みたところ、土鍋で煮込んだというより、仕上げに土鍋に取り分けた感じかな。どれどれ、ひと口。
熱い、辛い、痺れる。当然の感想が頭に浮かぶ。急いでレンゲから箸に持ち替えて、ご飯をかきこむ。固めに炊かれたご飯が、とてもよく似合う。
煮崩れた豆腐がラー油の海に泳ぎ、朱に交われば赤くなるを体現している。やがて唇は痛み、舌がしびれ、胃も熱くなる。胃弱中年の額には汗が。
それでもおいしいので手が止まらない。というより、手をゆるめたり水を飲んだりすると、辛みに負ける気がして、手を止められないともいえる。
やがて鍋底にはラー油と花椒が溜まり、辛さの向こう側へと誘ってくる。有吉ゼミの激辛チャレンジを思い出し、勇気を出して綺麗に食べ尽くす。
ごちそうさまでした。