昭和は遠くなりにけり。昭和生まれにとって、2つ前の元号というと明治なわけで、令和生まれにとっては昭和はすでに教科書で学ぶ歴史なのだ。
そう思うと急に老け込んだ気になるもので、大正がモダンなら、昭和はレトロ。昔はよかったオジサンにならぬよう、なるべく気をつけたいな。
さて、看板でみかけた「昭和のオムライス」にひかれてはじめての訪問。わざわざ昭和と名乗るには理由があるだろう。自ずと期待が高まります。
L 字カウンターと2人がけのテーブルが2つの小ぶりな店だけど、そのぶん目が行き届いている清潔さ。使い込まれた木のカウンターが好ましい。
ミニサラダを食べていると、卵をカチャカチャ溶く音、シュワワと焼く音が。コロナの影響で店内が静かなので、調理音が心地よい BGM です。
ほどなくやってきたのは、食品サンプルのお手本になりそうなひと皿。ラグビーボールのようなキレイな黄色い山に、赤いケチャップがポタリと。
玉子は流行りのトロトロではなく、しっかりと火が通ったオフクロの味系統。彩りのパセリをパクリと食べて、ケチャップを熱心に撫でつける。
では、端っこにスプーンをサクリ。断面にはケチャップライスがこんにちは。食べ進めればハム、玉ねぎ、マッシュルームと教科書のような味。
喉が渇きそうなほどケチャップまみれ。ミニスープで舌をリセットしつつも、なんとなくこのくどさが昭和感あふれる気がして、嬉しくなる。
最後に残ったごはん粒をスプーンの背に押しつけて、残さず平らげる。ここに至り水をゴクリ、紙ナプキンにキスマークをつけて、余韻にひたる。
ごちそうさまでした。
★しばらくは、お蔵出しです。