10月に入り、松屋の値上げが話題となっていた。デフレは消費者の立場では嬉しいけど、当たり前ながら売り手の立場ではキツい。
考えれば、平成初期に400円だったものが、令和になってもそれ以下の値段なんだから、そりゃ日本人の所得も上がらないわけだ。
ともあれ、食は命の根幹に関わることなので大事にしていきたい。多少娯楽を削ってでも衣食足りてこそ、礼節を知るのだと信じる。
で、松屋の朝定食。値上げを気に、プレミアム牛めしに統一されたので、豚汁定食の名もシンプルになっている。小鉢は何にしよう。
カレー、ミニ牛皿などのオカズヂカラが十分な連中もいいけど、豚汁があるからなあ。ここは意外性の男、とろろに賭けてみるかな。
まずは、油膜で湯気が出ていない豚汁をひと口。うん、具沢山で滋養に満ち満ちている。七味をかませば、おいしさは二乗に上がる。
豆腐、人参、レンコン、玉ネギ、青ネギ、白ネギ、サトイモ、ごぼう。これだけの具材を揃えるのは、自宅では面倒くさいのよね。
牛めしは、適度に紅生姜を添える。過ぎたるは猶及ばざるが如し、だ。牛を避けて、タレご飯をしばらく食べ、肉多め牛めしとする。
豚と牛。関東と関西の食の嗜好はあれど、どちらも肉料理の両雄ですから、ご飯がすすむこと、この上ないったらありゃしない。
牛めしを半分食べたところで、とろろに醤油をさして、軽くかき混ぜ流し入れる。芋の野趣ある香りと冷たい喉越しが牛めしに合う。
合うというより、積極的に似合う。さっぱりした後味で、豚汁や牛めしといった、ともすれば重くなる口ざわりが、リセットされる。
新たな発見に喜び震えつつ、ズルズル完食する。値上げは確かにツラいけど、お値段以上であることに変わりなし。また、食べよう。
ごちそうさまでした。