豚汁が飲みたい。油膜が張って湯気の出ない熱々のやつを、ふうふうと冷ましてはズゾゾと味わう。味噌汁とは異なる、油脂のコクがたまらない。
具材にはこだわらない。定義から豚肉はマストとして、あとは適当な根菜と、何ネギでもかまわない。豆腐だってあってもなくても構わない。
冬はつとめて、とはいえ朝の冷え込みはつらい。豚汁で暖をとるべく松屋の豚カツ部門・松のやへと。玉子かけ朝食の、ご飯少なめ、豚汁変更でいこう。
しめて 350 円。自宅でこれを準備することを思えば、決して高くない。むしろお値打ちすぎる価格に、ありがたみすら覚えるほど。程なく、呼び出しが。
まずは選べる小鉢のコロッケに下品なほどソースをかける。こち亀で読んだ下町の知恵、ご飯少なめだけどオカズヂカラは高いほど嬉しいよね。
箸で端っこをちぎり取り、サクリとたべればねっとりとした芋の甘いこと! 豚カツソースの酸味との相性が抜群で、嬉しくご飯をパクつく。
ここで真打ち、豚汁に七味を振って、まずは汁をズルズル。胃に落ちるや、体を芯から温めてくれる憎いやつ。滋味あふれるとはこのことか。
蓮根はシャキシャキ歯ごたえよく、とろりと煮えた玉ねぎが泣かせます。ご飯をひと口食べて、咀嚼もほどほどに豚汁で雑に流し込めば、結構幸せ。
ここで、玉子と醤油を混ぜ合わせ、ご飯にかける。分量的に汁っぽくなったところを、海苔で巻けば、安心安定のおいしさに、陶然とします。
何はなくとも、想定通りの豚汁の味わいに満たされる。周りをみれば、年配の男性ひとり客ばかり。温もりを求める心はご同慶の至りです。
ごちそうさまでした。