秋は収穫の季節です。果物が実り、魚は脂を蓄え、稲穂が頭をたれる。食欲の秋にふさわしく、瑞々しいおいしさに満ちあふれています。
秋はまた、新そばの季節です。そばの風味は繊細ですが、新そばは格別。ウキウキとノレンをくぐり、目についた辛味大根おろしを注文。
海原雄山なら「せっかくの新そばにこの薬味をつける鈍感さは許せぬ」と、憤りますが、あたしゃ田舎者のそば食いですから気にしない。
大根おろしがおいしいと思えたのは30過ぎかな。あれば食べるけど、決して自分で注文しない存在で、サンマの添え物、程度の認識。
ところが、今では熱心に大根をおろして、しらす、明太子と和えたり、卵と混ぜてすき焼きのつけダレにしたり、ジアスターゼの虜です。
ともあれ、新そばをツルリ。そば粉率が高いので少しゴツゴツした喉越しなのがステキやん。ふた口めはどっぷりツユをつけちゃえ。
さて、大根おろしの出番です。ひとつまみしてツユに溶かし、そばとともにすすり込めば、鼻の奥にツンとくる。たまりません。
辛味大根の名は伊達じゃない。そばに直接のせてもいいし、おろしだけつまんでも風流。最後はすべてツユに入れて、ズルズル食べる。
歳をとると味覚が変わる。ハンバーグもおいしいけど、ぬた、新生姜、ギンナンなどの珍味が嬉しいのだ。で、そば湯までいただきます。
ごちそうさまでした。