今日も 来て しまった

おいしく食べて、温かい布団で眠る。しあわせのかたちを考える日々の記録

麺喰らう(その 635)むじなそば

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同じ穴のムジナ。関係ないようにみえて実は同類であることをさす諺である。決してほめ言葉ではなく、悪だくみ関連に用いられる。


それじゃあ、ムジナってなんなのさ、となる。アナグマの異名とされるけど、地方によってはタヌキのことをさすので、混乱します。


調べると、穴掘りの苦手なタヌキが、ちゃっかりアナグマの巣に棲みつくことがあるようで、その辺から生まれた言い回しらしい。


で、むじなそば。たぬき=揚げ玉と、きつね=お揚げが、同じ穴=丼ぶりに同居しています。トンチがきいて、いいネーミングですね。


なぜだかアナグマ out、キツネ in しているのは不思議ですが、キツネもタヌキもムジナも人を化かす妖の動物くくりなのでしょう。


ともあれ、久しぶりのむじなそば。季節的に新そばかな。真実はさておき、そう思って食べたほうが断然おいしい。まずは、匙で揚げ玉を。


こちらの揚げ玉は都度揚げなので、チリチリとツユに爆ぜる音がする。ひと口食べれば、サクサク、カリカリ、アツアツで軽く火傷する。


味醂のきいた甘〜いツユは、揚げ玉の熱を帯びてかなり熱い。細いそばをたぐれば、揚げ玉の油っ気がからんで、唇をテラテラと濡らす。


ここいらで、もう一方の主役、刻み揚げをパクリ。こちらもアツアツのツユを存分に吸っており、噛むごとに味が滲み出してニンマリ。


揚げ玉の下には、プリプリのかまぼこやクタクタのネギが隠れており、それぞれ食感を慈しむ。七味を振りかけて味変するのも楽しい。


すっかり食べ終え匙で探れば、底にはモロモロの揚げ玉が沈み、表面にはクニクニの揚げ玉が浮かぶ。無論、キレイに食べ尽くします。


ごちそうさまでした。