いい年して恥ずかしながら、カレイと言われてもピンとこない。左ヒラメに右カレイ、なんて言葉は知ってるけど、実際に用いる機会などそうそうない。
そういえば、スラムダンクの魚住が「華麗な技をもつ河田は鯛。お前に華麗なんて言葉が似合うと思うか、赤木。お前は鰈だ。 泥にまみれろよ」と言ってたな。
いずれにせよ、カレイを食べようと能動的に動いた記憶がない。小さい頃は、金沢生まれの両親が魚好きだったので、やたらとカレイの煮付けを食べたけど。
ともあれ、前日の食べ過ぎを反省しているランチタイム。揚げ物や丼ぶりは避けて、サッパリしたものにしようと、本日の日替わり刺身に狙いをつける。
それがカレイ。刺身の盛り合わせで食べたことはあるけど、カレイの単独公演は経験がない。カウンター席でお茶をすすっていると、ほどなくご対面のとき。
見た目はふつうの白身魚。あたしゃ魚屋ではないので、切り身となってはタイやヒラメといわれても区別がつかない。ひと切れつまんで、醤油をつけてパクリ。
おおっ、コリコリ! 弾力はかなりのもので、白身ならではの淡白な旨みが鼻に抜ける。白米をかき込んで口内調味すれば、タイやヒラメに勝るとも劣らない。
大根のつま、切り干し大根、麩の味噌汁など、脇を固める副菜があっさりしているので、オカズヂカラはカレイしかないけど、その働きを十分果たします。
松皮かれいとは、松の皮のような鱗から名づけられたとか。そういえば、鱗のカケラが歯に挟まったけど、新鮮な証拠と思うとなんだか愛おしい。
あっという間に食べ終え、ぬるくなったお茶を飲み干す。巨人の清水は長嶋監督に「ヒラメに似ている」と言われてたけど、別にカレイでもいいのではないか。
そんなくだらない考えが浮かぶけど、カレイはおいしかった。小さい頃は、縁側の小骨が多くてイヤだったけど、今度みかけたら煮付けも食べてみるかな。
ごちそうさまでした。