魚の調理法としては、やはり「焼き」がポピュラーだろうか。新鮮ならばお刺身がいいし、揚げたり、干したり、バリエーションは豊かである。さすが海洋大国、日本。
あとは煮たり、蒸したりするくらいか。昭和のころは、それほど新鮮な魚が流通していなかったからか、基本は焼き魚、煮魚など、しっかり火を通していた記憶がある。
カレイの煮付けとかよく食べたな。小骨が多くて面倒くさくなるのだけど、ちまちま毟ったっけ。そう思えば、金目鯛の煮付けなんて、なんとまあ身離れのよいこと。
金目鯛は姿形が煮ているだけで、ススギ目のタイとは別のキンメダイ目らしい。深海魚だから、ギョロリと目玉が大きく、脂がのってるので煮付けが合っているとか。
そんな金目鯛の丼をメニューに見つけて、興味深く注文する。丼にするからにはおそらくお刺身だし、新鮮なのだろう、楽しみだな。お茶をすすりつつ、ボーっと待つ。
丼ぶりは赤と緑の補色が鮮やかなひと品。ワサビ醤油をこしらえて回しかけ、味噌汁で箸をすすぐ。見たところ普通の白身だけど、鮮紅の皮が金目鯛らしさを主張する。
角が立ったお刺身を取り上げてパクリ。クニクニとやわらかながらも、さっぱりした旨味があって、日本酒が欲しくなる。グッとこらえてごはんをかきこんで代償する。
金目鯛に限らず白身のお刺身は淡麗ゆえ、ほかほかの白米の風味に打ち克つには醤油の助力が欠かせない。塩味が強くならないよう注意しつつ、上から醤油をかける。
血圧を気にするお年頃ですが、ベストのおいしさを享受しなければ悔いが残る。自分に言い訳しつつ、丼ぶり飯をかきこむ。青紫蘇の風味がいいアクセントでした。
ごちそうさまでした。