ラーメンの味つけの基本はスープ+タレの組み合わせである。鶏ガラ、昆布、煮干し、豚骨などでダシをとったスープに、タレで味つけをしていく。
たとえば豚骨ひとつをとっても、博多のように白濁したスープに塩ダレをあわせることもあれば、喜多方のように澄んだスープに醤油ダレの組み合わせもある。
いわゆる昔ながらの中華そばの流れで、基本は鶏ガラ+醤油ダレであり、進化、分化を続けて百花繚乱、群雄割拠の今のラーメン界隈が形成されたのだろう。
さて、本日は塩ラーメン。こちらの人気ランクは「辛みそ」「みそ」「チャーハン」であり、醤油すらランク外。塩ラーメンは券売機の隅に追いやられている。
塩分はとかく健康の敵にされる。高血圧の原因であり、減塩が正義であるように刷り込まれる。そうかもしれないと思うのが、悲しいけどオレ、中年なのよね。
でも、塩ラーメンはスープの味がわかりやすい。味噌汁よりもすまし汁のほうがダシに鋭敏になるように。とか言ってコクを求めてバターをトッピング。
まずはスープをひと口。うん、おいしい。みそ味と比べても仕方ない。みんなちがって、みんないい。もやしをスープに浸してベジファーストで食べてゆく。
コーンもトッピングしたので、穴あきスプーンがついてくるのが嬉しい。コーンの沈殿を気にせず食べられるし、全ラーメン店に常備してほしいアイテムです。
油膜のはったスープに、さらにバターが溶け込んでゆき、徐々に甘いコクが加わるのがいとをかし。ちぢれ麺がよくからんで、馥郁たる香りが心を満たします。
このラーメンなら、コショウよりも、七味が似合うかな。途中まで食べて、サラサラとふりかけて味変する。脂っこさを引き締めて、後半戦に向け中弛みなし。
クニクニのメンマ、焼き目の香ばしいチャーシュー、ショリショリのネギもすべてバター味をまとい、どこに箸を刺そうとシアワセがついてきます。
なんと言っても、甘いコーンと塩バターの相性のよさたるや! 麺を食べ終え、穴あきスプーンで掬い上げてはよく噛んで、3分ほどかけてじっくり堪能する。
塩分を意識し始めると、麺類なぞ食べられない。穴あきスプーンの有能性は、具の取りやすさだけでなく、スープとの取り分け機能にあるわけですよ。
ちなみに海水の塩分濃度は3.4%で、体液は0.9%。おいしいと感じる汁物は体液よりやや高めの1%前後で、ラーメンスープはさらにお高めの1.5%あたりとか。
…水飲まなきゃ。
ごちそうさまでした。