かけそばと聞くと「清貧」「節約」「吝嗇」が思い浮かぶ。「一杯のかけそば」ブームもあったし「タネ物が食べられない経済事情」が背景に見え隠れする。
実のところ、朝に小腹がすいて温かいダシが飲みたいけど油物は避けたい。アラフィフにはそんな日が往々にしてある。まさにそんなときのかけそばである。
ミニかき揚げそばとの差額は数十円。経済事情ではなく食べたいからかけそばを注文するのだ。そんな矜持を誰に伝えればよいのか、まずは食券を提出する。
ともあれ、水を汲む間もないタイミングで「かけ、のお客さま」との呼び出し。誰も気にしていないけど、なんとなく気恥ずかしい。自意識過剰オジサンだな。
かけそばをしげしげみつめると、ネギがキービジュアルであることに気づく。完全な具なしではなく、ネギは青山テルマばりにそばにいるよ、ということか。
まずはそばをズルズル。朝イチだから角が立ち、ややボソボソした食感。立ち食いのそばはこれでいいよね。ネギとの食感の違いがいいアクセントになります。
で、ツユをひと口。かすかにダシの香りを感じ、塩っぱさよりもやや甘みを感じるのはみりんだろうか。具がないので、真剣にそば&ツユと向き合ってますね。
たとえるなら、卵かけご飯のように素材の味を楽しむって感じだろうか。具をいつ食べようかといった煩悩から解放されたシンプルな食事がここにあります。
かけそば、いくつか食べ比べようかな。
ごちそうさまでした。