牛たん。何気なく使っているけど、牛+tongueの組み合わせである。調べれば、カルビは韓国語、ロースは英語、ハラミは日本語など、焼肉界隈の語源は興味深い。
言葉の成り立ちが、複雑な日本の焼肉史を示しているのだろうか。まあ、そんな仰々しいことは専門家に任せるとして、目の前の牛たん定食に神経を研ぎ澄ませよう。
サービスランチは、上たん焼き、牛たんスライス、漬け物、カラシ味噌、麦ご飯、テールスープ。いわば全盛期のソフトバンク打線のように不動のラインナップである。
マスクを外せば、なにより炭の香りが芳しい。まずはノーマルたんをひと切れ。歯ごたえサクサクで、脂の旨みはもちろん、炭の香りと塩加減が絶妙なごはん泥棒だ。
厚切りの上たんは、サックリした歯ごたえもさることながら、肉の脂が多くてコクが加わり、控えめにいってもサイコーです。麦ご飯のボソボソ感が、脂に合うのよね。
ダシとろろをかけた麦ご飯をスルスル食べつつ、サッパリした浅漬けを喰み、辛味噌で脂っこさを相殺する。テールスープは良質な塩味で、コショウがきいてます。
シアワセな時間を過ごしていると、お隣さんは「牛たん定食+テールスープラーメン定食」を食べており、ごはん2膳と対峙している。健啖家が実にうらやましい。
ともあれマイペースに食べ続け、最後にテールスープの、ほんのひとかけらの肉のほろほろを楽しむ。デリシャス、マシソヨ、おいしかった。3か国語で独りごちる。
ごちそうさまでした。