今日も 来て しまった

おいしく食べて、温かい布団で眠る。しあわせのかたちを考える日々の記録

麺喰らう(その 853)朝のはいからうどん with こだわり卵 in なか卯

 

戦中生まれの両親は食に保守的だった。戦後しばらく、コールドチェーンが発達する前、なんなら電気冷蔵庫すら普及しないなか口にしたもので、舌が形成されたのだ。

 

北陸の金沢出身の両親は麺といえばうどんで、そばは真夏のざるそばか、年越しそばのみだった。うどんの具もシンプルにお揚げとネギで、揚げ玉なんて知らなかった。

 

母親に「最近はたぬきそばをよく食べる」というと、怪訝な顔で「天かすを食べるの?」と言われたっけ。わざわざ油分だけを食べるのが理解できなかったようだ。

 

さて今朝は、なか卯の月見うどん。券売機では「月見うどん」表記も、伝票上は「はいからうどん+こだわり卵」。はいからうどんに卵を割り入れて月見に仕上げます。

 

天かすの表現でわかるとおり「天ぷらの副産物」を、ありがたがって食べる関東の人は「ハイカラ」どすなぁという皮肉からのネーミングですね。おいしいけどね。

 

ともあれ、うどん=炭水化物、天かす=油分なので、卵=蛋白質をとれば栄養バランスがよかろう。たぬきが月見をするので、実質的には証城寺うどんとも言えよう。

 

ダシに泳ぐ白身を天かすとともにゴクリ。ふわふわ、サラサラと喉越しのよい天かすと、淡麗なダシ、淡白な白身がお腹を温めます。七味をかけて、うどんをすする。

 

飾らない、ツルツルのうどんはシンプルにおいしい。そういえば金沢のうどんは、関東の黒いツユではなく、白ダシの京風なので舌に馴染みがあるのかもしれないな。

 

半分ほど食べてから黄身を突き破り、トロリと濃厚なところをうどんにからめて一気呵成にすする。みるみる透明なツユが薄黄色に染まり、丼ぶり全体が朧月に変身。

 

残りを食べつつ、現代を生きる我々は、日本中なんなら世界中の食材を口にして、ひと昔前の王侯貴族よりいいものを食べてるんだなぁとしみじみ。ありがたく、完食する。

 

ごちそうさまでした。