麺喰らう(その 876)チャーシュー麺
市場めしはおいしい。あまり食べたことはないのだけど、目利きの卸売人たちがお腹を満たすのだから、おいしくないわけがない。築地に美食が集まるのもそうだろう。
漁師めし、農家めしと並び、憧れもこめて食べたい。で、こちらは内陸の卸売市場に併設された外部の人もOKという食堂。青果メインの市場だけど、なんにしよう。
まあ、何を選ぼうと、食事事情の偏差値が高いだろうから、まず間違いないだろう。一期一会の可能性もあるし、ここは悔いが残らぬようチャーシュー麺にしようかな。
初めて入る店なので緊張とともに扉をあける。お客さんは三、四人といったところ。シェフ自らの会計で、税込990円を支払う。ほぼ千円ですから、期待値が上がる。
レジ脇にあるセルフの給水機は、ほうじ茶やウーロン茶も出てくるので、コールドウーロン茶を選び、窓際の席で出来を待つ。キッチンから聴こえる金属音が心地よい。
調度品は新しくはないけど清潔で、適度に油っけを感じる。こういう店は誠実で間違いがない。ほどなくテーブルで事務をしていた女将さんがわが麺を運んでくれる。
ザ・こういうのでいいんだよラーメン。濃い色のスープは鶏ガラと海産のダシがバランスよく、旨みがギュッとね。たっぷりのチャーシューを1つつまめば脂が甘〜い。
歯がいらないほどのとろけるチャーシューを楽しんだのち、細ちぢれ麺をすすれば、計算されたようにスープがからんでちょうどよい味わい。こいつぁ、たまらん。
ほうれん草はザクザクおいしく、8分の1サイズのゆで玉子は黄身がねっとり。玉子もお高くなったもんなあ、以前は半裁だったに違いない、などと邪推しつつ食べる。
おっ、チャーシューの端っこだ。太巻きでも、フランスパンでも、端っこが好きなんですよね。ラッキー、今日はいいことありそうです。朝から活力がもらえますね。
6時に開いて9時に閉店するこちらは、市民の台所を支える市場の元気の源なわけだから、ステキに決まってる。またの機会があれば、今度は定食を食べてみようかな。
ごちそうさまでした。