今日も 来て しまった

おいしく食べて、温かい布団で眠る。しあわせのかたちを考える日々の記録

定食春秋(その 559)デルタカレー

 

自分が店を開くとして、何屋さんにするだろうか。感情が顔にモロに出る自覚があるので、客商売向きではない私ですが、思考実験でそんなことを考えるときもある。

 

好みの本だけを置いたセレクトショップ、袋ラーメンを忠実につくる店、子どもに勉強机を用意するだけの塾、いろいろ考えてみるけど、サラリーマンには如かない。

 

そんな私が憧れるのは、あだち充の名作タッチに登場した南風のような喫茶店。チェーンではなく、店長である自分の裁量があって、南ちゃんみたいな娘に恵まれたい。

 

で、カレーを出すのだ。市販のルゥを用いながらも隠し味が味の決め手。な〜んて夢想しつつカレーを待つ。仕入れ、仕込み、調理、接客、経理出納。私には無理だ。

 

サラリーマンとして目の前の仕事すらこなせているか怪しい私に、自律を求められる自営業はとうてい難しいな。そんな結論の出るころ、あいがけデルタカレーの到着。

 

まずライスの上にのるにんじんのピクルスを喰む。しっかりとした歯ごたえながら、さわやかな酸味、野菜の甘みがわかる。スープを飲んだら、いよいよカレーです。

 

手前はトマトカレーかな。サフランライスを崩して、カレーにまぶしてパクリ。しっかり辛いのに、スパイスの秘法で深みもあり、改めて自分には作れないと思い知る。

 

ドライキーマは、スプーンでいくらか口に頬張り、追ってライスを食べる。キシキシと食感を楽しみ、肉からしみ出る旨みやら辛みを味わう。味の決め手は何だろうか。

 

味はもちろん、彩りといい、栄養バランスといい、やはりカレーハウスのカレーはおいしい。勝手に敗北感を覚えつつ、いつもより少し声をあげて厨房に声を届ける。

 

ごちそうさまでした。