即席ラーメンの生みの親、安藤百福の生涯は興味深い。インスタント麺の発明にあたり、日持ちのために水分をどう取り除くか工夫して、揚げ麺にたどり着いたわけである。
当時は栄養をつけられるように、との意図もあって問題なかったが、やはり揚げ油による油分過多、味の変質などはついて回る問題であった。そこで、ノンフライ麺。
熱風乾燥させた麺は比較的ヘルシーで、好みはあれど麺がモチモチしている。30年ほど前、大学生だったころ、ホームラン軒で初めてノンフライ麺と出会ったっけ。
実際に生麺を用いたラ王もあったけど、お湯を注ぐだけでもちもちの麺が食べられるホームラン軒に驚いたっけ。まあ、従来のあげ麺のチープなスリルも大好きだけど。
久しぶりのホームラン軒は醤油味。289 kcalなんて、菓子パンに比べればタダみたいなカロリーです。麺の戻りにムラが出るけど、タンパク質補給に生玉子も入れる。
4分待ってフタを開ければ、思いのほか玉子が美しく仕上がってます。麺を軽くほぐし、スープを飲むと正調鶏ガラ醤油で、確かな塩っぱさがクセになり、もうひと口。
何度も言いますが、ノンフライ麺はつるつる、もっちりと艶めかしい。白身をからめたり、トロリとした黄身をまぶしたり、おいしさを自由に楽しみつつすすり込む。
もやし、ナルト、ネギなど脇を固めるデフォルトの具材もそれぞれよい働きをする。チャーシューは1枚ながらスープの旨みを吸って、薄さを感じさせない存在感です。
舌の記憶は脳より確かで、アパートのコタツで電気ポットでお湯を沸かした日々がよみがえります。何者でもなかったあの頃。まあ、今でも何者でもないままですが。
ごちそうさまでした。