今日も 来て しまった

おいしく食べて、温かい布団で眠る。しあわせのかたちを考える日々の記録

麺喰らう(その 942)豆腐一丁そば in 箱根そば

 

豆腐を一丁食べることは余りない。冷奴でも、鍋でも、切り分けたうちのいくらかを食べるくらいである。豆腐を切り分けない鍋焼き麻婆豆腐でも、半丁くらいだろう。

 

そんなことを言いつつも、例外はある。そう、盛夏の風物詩、箱根そばの豆腐一丁そばが今年も始まったのだ。店先のポスターでみつけ、後日お腹をすかせて訪問する。

 

元祖と銘打たれているけど、実際はどうだろう。天才バカボン同様、元祖の言葉にそれほど意味はないと思われる。フォロワーは多いけど、一丁丸ごとはなかなかない。

 

食券を提出すると、ほどなく呼び出しがかかり、威容を放つ豆腐とご対面。上が薄く茶色がかっているのは、醤油だろうか、そばつゆだろうか。ともあれ、端を食べる。

 

豆腐そのものの味がわかると思いきや、かなりの淡白さで「冷たい何かが口にある」という感想。一方、つゆのついたそばは甘く感じられ、調味料の偉大さに気づく。

 

そこで豆腐を八つほどに切り分け、それぞれそばつゆに浸しておく。味のしみた頃に食べる寸法です。すでに味がしみている揚げ玉は豆腐にのせ、たぬき豆腐を楽しむ。

 

鰹節、生姜などの薬味も、淡白味に華を添えてくれる。不思議なもので、豆腐と薬味を一緒に食べると「冷たい何か」だった豆腐に、しっかり大豆の甘みが感じられる。

 

それにしても、豆腐一丁はかなりのボリュームがある。正直いって食べても食べてもなくならない感覚。ほどよく体の熱気が冷めてゆき、かわりにお腹パンパンになる。

 

そばをすすり、最後に残るはそばつゆと三分の一ほどの豆腐。舌で押しつぶすようにして、もったりした喉越しを楽しみ、残る薬味を残らずつつき、最後に水をゴクリ。

 

ごちそうさまでした。