今日も 来て しまった

おいしく食べて、温かい布団で眠る。しあわせのかたちを考える日々の記録

定食春秋(その 600)味噌かつ煮定食 in やよい軒

 

 

味噌かつを初めて食べたのは、大学に合格して上京するまで、半月ばかりの自由時間だった。せっかく親の転勤で愛知にいたので、名物を食べようと大須へ繰り出した。

 

外食をしない家庭だったので、愛知に住んだ3年半で名古屋名物を食べたのは、せいぜいスガキヤきしめんくらいだった。ネットもない時代、情弱の極みでしたね。

 

それでも、愛知に住んでいる時期だけわが家の味噌汁は赤味噌だった。金沢出身の母親は口惜しそうに「それしか売ってない」とつぶやいた。だもんで赤味噌大好き派。

 

さて、たまたますいていたやよい軒に飛び込み、適当に券売機を操作しているうちに「味噌かつ」に出会う。そう、大須でわざわざ食べたのは「矢場とん」だったのだ。

 

ドラゴンズのユニフォームが飾られた店内で、よくわからぬまま味噌かつを食べた。鉄板で熱せられた甘い味噌ダレと、熱々のカツで丼めしをガブガブ食べた18の春。

 

そんな甘酸っぱい思い出を秘めて味噌かつ煮定食。あれから30年以上たったので、丼めしではなくもち麦ごはん、しかもおかわりはナシ。歳をとるとはこういうことか。

 

「鉄板が熱いのでお気をつけください」の案内とともに味噌かつの登場。赤味噌ではない、やよい軒のいつもの味噌汁を飲んで箸を湿らせ、まずは端っこのひと切れを。

 

あっつい! はふはふと熱を逃しつつ噛み締めれば、赤味噌のかすかな苦味とみりんの甘みで彩られたタレがでらうま。カツがこんなに熱いなんて、嬉しいじゃないか。

 

おかわりしないと、ひと口あたりのごはんはかつよりも少ない。鉄板に玉子があるので、半熟の黄身をからめたり、固まった白身で巻いたり、味を薄めつつ食べてゆく。

 

基本的に味の濃いものが好きなので、いわゆる名古屋メシはどれも大好きです。なんとなく食べたランチで、上京した頃の凛とした思いを取り戻せた気がしました。

 

喉が乾くでかんわ。

 

ごちそうさまでした。