福井名物というと、メガネが思い浮かぶ。しかし、正確には「鯖江市」名物であり、福井全体を代表するとはいえない。愛知名物をトヨタ車というくらい違和感がある。
福井には越前カニに代表される海鮮や、ソースカツ丼のような変化球もあるし、恐竜の化石が多く発見されることから、福井県立大学には恐竜学部が設置されるという。
そんな福井の人口はおよそ75万人。東京23区でいえば練馬区や大田区と同じくらいである。京都に近いお土地柄とはいえ、多くの名物を求めるのは酷ではないか。
などと思いつつ、券売機で越前おろしそばを選ぶ。福井の県北地域でよく食べられるらしく、キリリとしめられたそば、たっぷりの大根おろしが夏によく似合いそう。
丼ぶりを受け取りマスクを外すと、カツオ節の香りにまずはニンマリ。ワサビをといてそばをすすれば硬めのワシワシ食感で、カエシよりもダシのきいたツユがいいね。
まぁるい大根おろしはドラゴンボールくらいの大きさ。ひと口食べてみると、冷蔵庫に入っていたのか、かなり冷たい。辛みはさほどなく、全体にまぶして食べてゆく。
大根のタカヂアスターゼか、食べるごとに胃が洗われるような気がします。カツオ節や刻みのりの香りが大根の青くささを上書きして、具材の相性のよさがわかります。
そばを噛みつつ、福井に思いを馳せる。永平寺、東尋坊などの名所やあわら温泉もあるし、鯖街道の出発地にもなっている。行きたいけど、首都圏からはあまりに遠い。
北陸新幹線が延伸されたら、いちど乗り潰しがてら行ってみようかな。あるいはサンダーバードがあるうちに、大阪から行くのもいいな。などというあいだに完食です。
ごちそうさまでした。