「ざるそば、大盛りで」と頼むと、注文が「大ざる〜」と復唱される。まったくもって正しいけれど、大ざると聞くとサイヤ人をつい思い出す悲しきアラフィフ世代。
実際に「大ざる」と検索すると、普段の検索傾向のせいかベジータばかりが結果に出るのでさほど間違った連想でもないのね。ともあれ暑いので、そばをたぐるのだ。
子どもの頃、ざるそばなんてつまらない食事だと思っていた。夏休みの昼ご飯に、スーパーの茹でそばを、薄めた麺つゆで食べる。薬味は刻み海苔くらいだったっけ。
ネットもない時代、そば湯なんて知らなかったし、そばに高級店があると思いもしなかった。大学生になっても、そばを食べるのはどん兵衛と富士そばくらいだった。
年をとったのだろう。暑さを凌げて、それなりに腹にたまる食事としてそばを選ぶようになった。立ち食いの揚げ物も大好きだけど、たまには「いいそば」も食べたい。
こんもりと盛られた大ざる。たしか真ん中から持ち上げていくと、絡むことなく食べられるんだよな。せっかく大盛りなので、いろいろと味変しつつ楽しむことにする
まずはそばをそのまま。幽玄
つゆにどっぷりつけて。淡麗
次はワサビを少しのせて。馥郁
つゆに大根おろしを入れて。清涼
つゆに薬味ネギを入れて。高潔
そばに少し七味をかけて。鮮烈
だんだんボギャブラリーも怪しくなってますが、子どもの頃と異なり、そばを自由に楽しめます。そしてお楽しみに濃いめのそば湯割りをこくり、こくりと飲んでゆく。
胃腸を冷やしっぱなしにしないのが、大人のふるまいだなあ、と自分で感心する。アラフィフだから、十分に大人のはずですけどね。腹八分目、いいお昼時間でした。
ごちそうさまでした。