台湾出身の郭さんが、台湾で食べた担仔麺(タンツーメン)にヒントを得て考案したのが台湾ラーメン。唐辛子とニンニクをきかせたひき肉がたっぷりの名古屋めし。
台湾ラーメンが評判になると具材のひき肉は「台湾ミンチ」と呼ばれるようになり、ほかの料理にも用いられるようになったとか。やがて、台湾まぜそばが誕生した。
名古屋めしは味が濃い。あっさりしたのはきしめんくらいで、代表選手の赤味噌料理のほかに、あんかけスパや手羽先、ひつまぶしなど味がはっきりしたものが多い。
そんな名古屋めしの新興勢力が台湾まぜそば、2008年発祥というから、寺田心さんと同い年だ。ともあれ、台湾ミンチをたっぷりのせた油そばは、大変においしい。
せっかくの機会なので「全部のせ」にしよう。とかいいつつ、午後のお勤めもあるので、ニンニク抜きです。厨房に面したカウンター席は熱気に包まれて、非常に暑い。
太麺だからか、それなりに時間がかかりますね。店内に貼られた食べ方指南を眺めたり、台湾ラーメンの歴史を調べたりしていると、偉容を放ちつつ登場しました。
丼ぶりは小ぶりながら、麺を覆い尽くす具材とフィンファンネルのように屹立するのりが美しい。せっかくの美麗な盛りつけですが、よ〜く混ぜるのが美味しさの秘訣。
具材はデフォルトで、ねぎ、魚粉、台湾ミンチ、にら、のり、卵黄、ニンニク。全部のせはメンマ、チャーシュー、味玉、フィンファンネルが追加されるようす。いざ、混ぜんかな。
フィンファンネルはそのままに、麺と具材を熱心に混ぜる。どこか、幼い頃の泥遊びにも似た快感がありますね。仕上がったのは、伊勢うどんのような混沌のひと品。
極太の麺をはもちもちで食べ応え十分。ラーメンはスープを楽しみ、つけ麺は麺を楽しむと言われますが、まぜそばは後者ですね。モムモム噛み締めると、味がわかる。
場所によって、のりの香りが立ったり、にらの風味が勝ったり。魚粉の存在感もなかなかで、この味ムラが個性なんだな。台湾ミンチの辛みと卵黄が全体をまとめます。
追加チャーシューは、それぞれがサイコロキャラメルの箱くらいあり、奥歯を使って噛まないといけません。途中お酢を足す、と書いてあるので、味変を漏れなく試す。
おおっ、酸っぱい。ちょっと入れすぎたかもしれないな。バランスをとるべく、卓上の辛子をふると今度は辛い。バランスが難しいけど、アレンジも食事の楽しみです。
お酢のおかげか、ペヤングばりにまろやかになった麺をズビズビすする。とっておきのフィンファンネルのりで麺を巻き、唇をてらてらにしながら、麺を食べ終える。
あとは、残ったタレに追い飯をもらい、余すところなく食べ尽くす。ほんの少し、とお願いした追い飯は、レンゲ3杯ほどの理想の分量で、無理なくおいしく完食です。
おなかいっぱい、胸いっぱい。調べてみると、カロリーも塩分も、想定の斜め上をいくボリューム感。深い満足感とひきかえに晩ごはんは控えめにしないといけません。
ごちそうさまでした。