ひとり◯◯がどこまで可能か。人それぞれ限界は違うだろうけど、オジサンは基本ひとりぼっちです。コロナ禍、核家族化、飲み会離れなど、原因はいろいろだけどね。
映画、ラーメン店あたりは余裕で、なんなら動物園もいける。居酒屋も大丈夫だけど焼肉屋はあまり気が進まない。団体席を1人で埋めることに、後ろ髪ひかれるのだ。
肉が食べたいときステーキやトンカツを選ぶけど、やはり焼肉が食べたい日もある。週末まで待っても家族でいけるとは限らないし、ひとり客の専門店はありがたい。
たまたま新宿でみかけたこちら、調べると全国チェーンらしい。なるほど、世の中には知らないことがまだまだたくさんあるなぁ。ともあれ、幸いに待ち時間なく入店。
気が早いけど、手渡された紙エプロンを身につけて、タブレットでメニューを選ぶ。定食の一番目立つ位置にクワトロセットが。4種盛り、試さねばなるまい。
私の世代だと、クワトロと聞いて思い出すのは、Ζガンダムのグラサンです。キャスバルからエドワウ、シャアと名を変え、身を隠し、4番目の名前だからクワトロ。
50にもなって、イタリア語の数詞はウノとクワトロしか知らないのは恥ずかしいですが仕方ない。注文を終えたのち、2つのボタン同時押しでロースターに火を点す。
壁を見ると、タレの種類が豊富です。にんにく、旨辛、レモン、焦がし味噌、淡麗醤油、生醤油。それにふりかけまであるのね。水をチビチビ飲んでいると呼び出しです。
タレ入れは2つ。タンのレモンは確定なので、実質1つか。とりあえずふりかけをかけ、スープのフタをあける。箸を湿らせてキムチを食べるとごはんが欲しくなる。
思いのほか辛いキムチにごはんがすすむ。大盛りにしておけばよかったかな、などと思う。唯一の野菜である玉ねぎを焼き網に乗せて温度をみれば、どうやら焼きごろ。
まずは何はなくとも、タン。いきなりカルビという人もいるのだろうけど、味の薄いほうから濃いほうへと食べてゆく。寿司屋にも似た組み立てを律儀に守ります。
レモン汁をまぶして食べれば、脂ものっていて、間違いないおいしさ。お隣さんは昼からビールセットを頼んでおり、うらやましくて仕方ないが、こちらは白米がお供。
カルビ、ハラミ、バラカルビ。悩んだ末に選んだ生醤油タレをつけて食べてゆく。オカズヂカラは抜群ですが、しつこいようだけどやはりビールのほうが似合うかな。
ものは試しに、レモン汁のほうに焦がし味噌タレを入れる。もともと肉についたタレと、レモン汁とも入り混じって本来の味ではないだろうけど、これまたおいしい。
仕舞いには肉3切れ、キムチ少々にごはんひと口というアンバランスな状態。食事の組み立てとしては負け戦さだけど、大盛りにするわけにはいかない。これが若さか。
すっかりゴキゲンで席を立とうとしてスープを残していることに気づく。まだだ、まだ終わらんよ。クワトロ大尉のように心中発声しつつ、おいしく最後まで飲み干す。
ごちそうさまでした。