今日も 来て しまった

おいしく食べて、温かい布団で眠る。しあわせのかたちを考える日々の記録

定食春秋(その 6)刺身盛り合わせ定食

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刺し身はごちそうであろうか。


生で食べられるわけだから、当然に新鮮でなくてはならない。

コールドチェーンが発達した今でこそ、刺し身は海なし県でも食べられますが、ひと昔前、昭和の頃なんて冷蔵車ですら珍しかったわけで。


だから、その頃の名残りなのか、新鮮さが珍重されているのは間違いない。寿司とせず、丼ぶりともしない生ザカナ。こいつはありがてえ、といった昭和マインドの残照というか。


そう、昭和後半生まれとしては、刺し身はごちそうなのだ。

だからこそ、飲み会で誰にも手をつけられず干からびていく刺し盛りや、うず高く積まれたツマをみると切なくなる。でもオレが面倒みる!  とは言えない中年男の腹具合もある。


そこで刺し身定食。これなら食べきってあげられる。待ってろ、刺し身。


そんな刺し身の味を生かすも殺すもしょうゆ。ベッタリつけたらしょっぱいだけだし、かといってつけないとそれなりに生ぐさい。

オカズにするならやや多めにつけるのがいいんだけど、通ぶって刺し身の上にワサビをのせてみてご飯をかきこむ。


私は誰に対して見栄を張っているんだろうか?  たぶん、自分との闘いなんだな、これは。


宴会ではなおざりになりがちなツマも、いざサラダがわりにペロリと食べる。元々は、流通がよくない時代に殺菌がてら添えられたというけど、消化がよくなるし、食べない手はない。


マグロはムチムチ、タコはコリコリ。おっ、サーモンか。こちらも流通がよくなって、すっかり生食軍の一員となりましたね。しょうゆが脂にそまるくらいの濃厚なお味です。


あまりのおいしさにペース配分を誤り、最後は溶きワサビ(!)を箸先につけてご飯を完食。鼻に抜けた辛味をお茶ですすぐ。

…認めたくないものだな、自分自身のおいしさゆえの過ちというものを。


やっばり、刺し身はごちそうです。間違いありません。


ごちそうさまでした。