今日も 来て しまった

おいしく食べて、温かい布団で眠る。しあわせのかたちを考える日々の記録

定食春秋(その 56)ことこと煮込みハンバーグ

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表面はカリカリに焼け、フォークで切れば肉汁がジュワーっと。ほどよく赤みの残った肉をかみしめれば、旨味があふれる。


ハンバーグというと、いつの間にやらそんなイメージ。間違ってない、むしろ正しい認識。でもハンバーグの原体験ってそんな素敵なものだっけ?


昭和の子どもとしては、イシイのおべんとクンで十分ごちそうだったなぁ。食が細かったけど、うれしくて、タレをご飯にまぶして食べたっけ。


母親がつくるハンバーグも懐かしい。豚肉に赤みが残るのを許さない母は、とにかくハンバーグを煮込んだ。


焼き目などない、旨味はスープに溶けだす、それでも赤みを除くことが最優先されたハンバーグ。


スープにケチャップを入れて煮つめるので、旨味がすべて抜けるわけではない。でも、肉汁ジュワーは高級レストランの秘儀、幻の技だと思っていた。


さて、前口上が長くなりましたが、ランチメニューの煮込みハンバーグにそんなことを想う。


両親ともに魚好きだったから、わざわざ子どもの好みに合わせてくれてたんだなぁとしみじみ。


ではでは、まずは赤だし。ダシがきいて、豆味噌らしいほろ苦さがたまらん。箸を湿らせたところで、キュウリの漬け物でご飯をひと口。滋味、滋味。


お次はベジファーストで野菜サラダを半分ほど。しそドレッシングがきいてます。あと半分はハンバーグのソースに飽きたときのお口直し用。


さて、メインのハンバーグ。スプーンでパッカリと半分に割ると、均質に火の通った美しい断面。


ひと口大に切り分け、ドミグラをつけてパクリ。日本料理じゃないのが嘘のようにご飯に合う。


付け合わせのポテトにもドミグラをつけてカリカリ食べる。こいつぁ、ご飯もいいけどビールが合うだろうねえ。


ドミグラをまぶしながらハンバーグを食べ、追いかけるようにご飯を口に入れ、ひたすら噛む。時に漬け物や味噌汁をはさむものの、基本はハンバーグご飯。


煮込まれて、肉団子っぽくなっているのが、かつての家庭の味が思い出されておセンチになる。


おふくろの味なんて言葉はウェットで好きではないけど、舌に刷り込まれた記憶は取り除けないネ。


大根おろしに明太子という、世が世なら主力となりうる小鉢も嬉しい。チビチビ食べたご飯がさらに足りなくなるゥ。


さて、お口直しにサラダを片づけ、最後は漬け物とご飯でしめる。


良くも悪くも、におい、音、味なんてのは記憶を取り戻すトリガーとして優秀ですね。昼間っから昔語りがしたくなりました。


ごちそうさまでした。