週末の駅というのは、平日とは異なる表情をみせる。人かげがまばらで、コロナ禍で家族連れも少なく、祭りのあとの神社のような余白感です。
そんな駅前のそばスタンド。近接しているので実質的には駅そば屋といえようか。通勤客だけでなく、常連の日常食の場ともなっているような店。
夏場は+50円で全メニュー冷やし対応。いつもカレーそばを冷やしにするとどうなるものかと夢想するけど、むろん小心者なので頼みはしない。
冷やしたぬきを頼むと、そばを湯がく間に器を冷水に通して冷やしている。そば、具材、ツユ、ワサビ、盛り付けの素早いコンボに見惚れちゃう。
着席したらまずはそばをズルズル。ダシのきいた酸味のないツユがイイね。これくらいかな、とワサビを溶いて再びズルズル。しみじみおいしい。
たぬきは揚げ玉ではなく天かすですね。さまざまな形で、クニクニ、フニフニと楽しい食感。カイワレならでのシャクシャクした清涼感も美しい。
店前のショーケースからオニギリを買う人、店員さんに近況を話す人、はたまたスポーツ新聞を読み込む人など滞留時間の長い常連も多いみたい。
「おはよう。オレ、今日はなんにしよう。カレーかな」なんて元気な老紳士。現役のころから来ているのかな、それとも独り身になってからかな。
などと勝手に人間模様に思いを馳せる。パッと食べてサッと帰る、私のような流れ者も違和感がないのは駅そばならでは。さながら人生の交差点。
ごちそうさまでした。
★しばらくは孤食のグルメ&お蔵出しです。