今日も 来て しまった

おいしく食べて、温かい布団で眠る。しあわせのかたちを考える日々の記録

麺喰らう(その 770)コロッケそば

 

実家のコロッケは俵形だった。クリームコロッケにありがちな円筒状で、じゃがいもと挽き肉、玉ねぎが入っていた。もう食べることのできない、懐かしの味。

 

高校のころ、部活帰りに立ち寄った肉屋で食べたコロッケが平ったくて驚いた。家で母親にきくと「平べったいと、崩れやすいから。お母さん、不器用で」と。

 

高倉健のような答えだけど、なんか悪いことを尋ねたような気がした。名誉のためにいっておくと、母のコロッケはどこに出しても恥ずかしくない味だった。

 

そんな感傷に浸りつつ、コロッケそば。これでいいんだよ、という茹でおきの麺に、黒っぽくいいツユはまさにザ・立ち食い。七味をふってズルズルすする。

 

やわめのそばは、甘みのあるツユとよくからむ。シャクシャクしたネギがアクセントになり、コロッケの油が滲み出たツユが味に深みを増しています。

 

ここでコロッケをひと口かじると、カレー風味で、じゃがいもがムッチリした舌触りで嬉しいな。衣はあまりダシを吸ってないけど、どういう理屈だろうか。

 

ともあれ、堅牢なコロッケをかじりつつ、そばをやっつける。衣がチクチクして、ご飯が欲しくなる味わい。おにぎりを頼めばよかったかな。

 

店員さんが年配の女性なので、つい実家のコロッケを思い出しました。そばに入れたら、すぐにほどけてしまいそうな、やわらかくて、おいしいコロッケを。

 

ごちそうさまでした。