お酒を嗜むようになり、自然と「効率のよいアテ」を求め、珍味へとたどり着いた。いかくん、チーかま、うずらの卵などが主戦場。
しかし珍味の語義「滅多に食べられない、珍しくおいしい食べ物」からすると、もう少し、非日常感というか、高級路線が望ましい。
日本三大珍味ならば、ウニ、カラスミ、このわた。農林水産省のウェブサイトでも紹介されているからには、由緒ある珍味といえる。
一方で、世界三大珍味はフォアグラ、キャビア、トリュフ。中華三大珍味はアワビ、フカヒレ、ツバメの巣。いずれも高級路線です。
で、こちらの立て看板。「フォアグラと胡麻が広がる濃厚なコクと旨味スープ、ピリ辛な辣油が心地よい華やかな一杯」。情報量が多い!
鴨ラーメンがおいしい店なので、ハズレはないでしょう。千円は気軽なお値段ではありませんが、後学のためにも試してみようかな。
「担々麺〜」とオーダーが通り、セルフの水を舐めつつ待てば、程なくやってくる。おお、丼ぶりも情報量が多い! まずはスープを。
おお、おいしい。鴨スープのうまみ、胡麻の濃厚なコク、辣油の鮮烈な辛味など、情報量の多さがそのまま舌まで波及してきました。
細ストレート麺をすすれば、当然鼻に抜ける華やかな味わい。クキッとした麺は歯ごたえよく、濃密なソースのパスタを食べる気分。
真ん中に鎮座する塊こそ、お楽しみのフォアグラ。少し切り出して頬張れば、おお、カリカリで香ばしく、レバーらしいねっとり感。
これは珍味。ビールが欲しくなる。いやいや、赤ワインでもいいな。などと煩悶するランチタイム。漱石先生を使った甲斐がありました。
鴨ダシによく似合うネギ、シャクシャク楽しい青梗菜、一服の清涼剤となるプチトマト。どれも必要にして十分な働きです。
フォアグラに潜む花椒の痺れが、緩んだ頬を引き締める。ご飯を入れておじやにしたいこの味は、もはや珍味ではなく美味でした。
ごちそうさまでした。