今日も 来て しまった

おいしく食べて、温かい布団で眠る。しあわせのかたちを考える日々の記録

麺喰らう(その 668)紅生姜天そば in 富士そば

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「天ぷらにソースをかけますか?」とは刺激的な煽り文句ですが、以前読んだ文庫本のタイトルです。いわゆる食文化の県民性のハナシ。


地域性もさることながら、家庭の味も人それぞれ。父方、母方の事情がないまぜになって、わが家の常識は世間の非常識だったりする。


令和の世で、これだけ情報が飛び交う社会になっても、皆んな「よそゆきの食事」と「家庭の食事」を使い分け、折り合いをつけている。


さて、天ぷら。そもそも地域ごとに、魚も野菜も違ううえに、調味料もそれぞれ。ウチの実家は、自家製天つゆか、醤油で食べてたな。


紅生姜天は関西ではよくみるらしいけど、東京でレギュラーメニューなのは富士そば(の一部)くらい。たまに食べたくなる、クセの強い味。


店内では前客がそばを待っており、どうやら茹でたてに与れそうだ、ラッキー。呼び出しがかかり、シャア専用のごとき赤いヤツとご対面。


まずは紅生姜をガブリ。やはり酸っぱくて辛い。「辛い」は、わが国の食文化の豊かさを反映して、いろいろ意味がありますよね。


いわゆる、唐辛子のカアッとした辛さではなく、ワサビのツンとした辛さでもない。温覚を刺激する、生姜ならではのヒーハーな辛さ。


茹でたてのそばは角が立ち、熱々のツユとともに大満足。やがて紅生姜の個性が徐々にツユに溶け出し、ほんの少し酸っぱくなる。


なんというか、食べていると鼻に抜ける風味がたこ焼き気分。そういえば、関西では辛いというと、塩っぱいの意味もありましたね。


ズルズル、ハフハフ。夢中で食べれば、ジンゲロール効果で体が温まってきました。さて、寒空の下へ戻り、今年の終い支度をしなきゃ。


ごちそうさまでした。