「天ぷらにソースをかけますか?」とは刺激的な煽り文句ですが、以前読んだ文庫本のタイトルです。いわゆる食文化の県民性のハナシ。
地域性もさることながら、家庭の味も人それぞれ。父方、母方の事情がないまぜになって、わが家の常識は世間の非常識だったりする。
令和の世で、これだけ情報が飛び交う社会になっても、皆んな「よそゆきの食事」と「家庭の食事」を使い分け、折り合いをつけている。
さて、天ぷら。そもそも地域ごとに、魚も野菜も違ううえに、調味料もそれぞれ。ウチの実家は、自家製天つゆか、醤油で食べてたな。
紅生姜天は関西ではよくみるらしいけど、東京でレギュラーメニューなのは富士そば(の一部)くらい。たまに食べたくなる、クセの強い味。
店内では前客がそばを待っており、どうやら茹でたてに与れそうだ、ラッキー。呼び出しがかかり、シャア専用のごとき赤いヤツとご対面。
まずは紅生姜をガブリ。やはり酸っぱくて辛い。「辛い」は、わが国の食文化の豊かさを反映して、いろいろ意味がありますよね。
いわゆる、唐辛子のカアッとした辛さではなく、ワサビのツンとした辛さでもない。温覚を刺激する、生姜ならではのヒーハーな辛さ。
茹でたてのそばは角が立ち、熱々のツユとともに大満足。やがて紅生姜の個性が徐々にツユに溶け出し、ほんの少し酸っぱくなる。
なんというか、食べていると鼻に抜ける風味がたこ焼き気分。そういえば、関西では辛いというと、塩っぱいの意味もありましたね。
ズルズル、ハフハフ。夢中で食べれば、ジンゲロール効果で体が温まってきました。さて、寒空の下へ戻り、今年の終い支度をしなきゃ。
ごちそうさまでした。