今日も 来て しまった

おいしく食べて、温かい布団で眠る。しあわせのかたちを考える日々の記録

定食春秋(その 454)野菜サラダ定食

 

高齢のご夫婦が切り盛りする定食屋。お孫さんが下校時に店を通り抜けるような微笑ましい雰囲気で、来るたびに嬉しくなる。甘味処併設で創業144年とか。

 

古くから開けた地域とはいえ、長く続くのはやはり味とお値段という顧客ニーズに応えているから。個人店なのでいつ看板をおろすのかドキドキしつつ訪問。

 

久しぶりのカウンター席に陣取り、これまた久しぶりに野菜サラダ定食を注文。壁に貼られた取材記事をみると、ご主人は84歳だとか。畏敬の念を抱きます。

 

メニューをみれば価格も50100円くらい上がっているけど、コスパでははかれない美しさがあります。和菓子は毎朝4時前から仕込むらしい。

 

接客はご主人が、調理は女将さんが担当。カウンター裏からはガチャガチャと鍋を振る音が聴こえてきて、お腹がウォームアップを始めました。

 

さて、野菜サラダ定食。ふつう定食は主食をその冠に戴きますが、こちらはレタスサラダではなく、その他オカズを合わせた総合力でご飯を食べてゆきます。

 

https://socius-lover.hatenablog.com/entry/2019/03/13/190246

 

先ほど、ゴシュゴシュと大根をおろす音が聴こえてきましたが、しらすおろしこそ本定食の本態。醤油をたっぷりかけてパクリと食べれば、辛みでしびれる。

 

おろしたての大根というのは、どうしてこんなに辛いのか。あまりのスパイシーさにソースをかけたのではないかと疑うくらいで、ご飯をかきこんで中和する。

 

「おろしたてのあの日のスニーカー、白すぎて恥ずかしかった」のは渡辺美里。「おろしたての大根おろし、辛みがきいておいしかった」ウォゥ、ウォゥ。

 

閑話休題。味噌汁を飲めばエノキ、ナス、油揚げの充実のタネ。看板のサラダはレタス、ハム、きゅうり、トマト、ゆで玉子でお手本のような味わい。

 

自家製の漬物、嬉しい小鉢の煮物など、オカズヂカラには事欠かず、ペロリと平らげる。腹くちくなったところで、和菓子にも合う濃ゆい緑茶をすする。

 

壁に貼られた百年食堂のシール、ホンジャマカの石塚さんの色紙など、私が言わずとも世間が認めるおいしさの証。もはや存在が尊い店ですね。まいうー。

 

ごちそうさまでした。