定食春秋(その 542)特製黒カレー
カレーに用いるスパイスは、漢方薬の成分と一部重なっている。美味しんぼには、カレーに漢方薬を振りかける大学教授が描かれていたけど、あながち間違いでもない。
桂皮はシナモン、鬱金はターメリック、丁子はクローブなど。詳しくは専門に任せるけど、医食同源、食事で健康が増進されるのは願ったり、叶ったりではなかろうか。
こちらの黒カレー、独特の胃腸薬のような香りがします。表面には、粗挽きのスパイスらしき粉がかかり、特製は伊達じゃないと実感する。まずは、スプーンでひと口。
漆黒だけど焙煎感は控えめで、スパイスの複雑な味わいが先立ち、辛さが遅れてやってくる。ザラっとした粉はなんらかのスパイスだろうけど、種類は想像もつかない。
でも、後のせでフレッシュな存在感を示しており、冒頭に書いたとおりカレーは漢方の一種であると主張している。味噌汁で舌を洗って、今度はごはんと一緒にパクリ。
ごはんと味わえば、色はさておき、バランスのよいカレーで、漢方感は不思議と薄らぐ。黒くてわかりにくかったけど、とろとろの牛肉が入っており、舌でとろける。
途中でサラダを喰みつつ、らっきょうの酸味、クコの実の彩りも楽しむ。食前にもらって少しぬるくなったコーヒーはカレーとの相性がいいけど、味噌汁優先で食べる。
窓際の席は風が通り、カレーによるほてりを具合よく冷ましてくれる。細長い皿は、ごはんとカレーを同時に食べ終えるのが難しかったけど、無事に調整できました。
ごちそうさまでした。