暑くなると散歩も億劫である。本来、健康のために歩いているのに、熱中症にでもなれば本末転倒なので、自ずと朝晩の陽の低い時間を狙うこととなる。そんな朝散歩。
人っけのない商店街をのんびり歩く。ラジコを聴きながら、店の出入りはもちろん、ポスターでキャンペーンをチェックするなどそれなりに忙しく、やがて駅前につく。
朝はコーヒーを飲んだだけだし、このあと1時間は歩くので、軽く朝食なぞ食べますかね。ドトール、吉野家、箱根そばなど、どれもおいしそうで優柔不断となる。
久しぶりに箱根そばにしよう。キャンペーンの季節の天ぷらもいいけど、お得な朝そばにしようかな。券売機を操作し、調理場に食券を持参して、水を汲んで席をとる。
厨房をみると、ジュースのサーバーのような器から冷やしつゆが注がれている。安さとおいしさを両立させる工場調理に文句はなく、むしろメカニカルな工程が楽しい。
箱そばの朝そばは、たぬき、きつね、ワカメが相盛りのサービス精神満点で、思わずにんまり。器を傾けてワサビをとき、徐にそばを持ち上げ、ズズッとすすり込む。
のどを通り過ぎる冷たいそばは、散歩の疲れを吹き飛ばしてあまりある冷涼さ。白雪のような純白の揚げ玉がサクサクと心地よく、甘めのつゆが鼻腔をやさしく満たす。
ワカメはグキグキと歯ごたえがあり、健康によさそう。ツユのしみた輪切りネギ、半裁ながらもしっかり甘く存在感のあるお揚げなど、冷やしそばの1つの完成形です。
やがて、ツユ色に染まった揚げ玉はしっとりとそばにからみ、食べ終える頃には宴のあとのように器には何も残らない。さて、散歩の後半戦、張り切らないでいこう。
ごちそうさまでした。