今日も 来て しまった

おいしく食べて、温かい布団で眠る。しあわせのかたちを考える日々の記録

定食春秋(その 629)チーズバーガー

 

 

チーズが食卓でポピュラーになったのは、いつ頃だろう。昭和50年代の記憶では、6Pチーズやスライスチーズをたまに食べるくらいで、冷蔵庫に常備はなかった。

 

牛肉自由化の前後、マクドナルドがまだ高嶺の花で、いつかマックで誕生日パーティーをするのが夢だった頃である。その後、バブルになって、食の欧米化も加速した。

 

トムとジェリーのような穴あきチーズ、カビのついたチーズ、今では当たり前の粉チーズが出回るようになり、我が家の冷蔵庫にもスライスが置かれるようになった。

 

で、ハンバーガーとチーズバーガーの差額が「チーズ1枚」の相場、およそ30円である。風味とコクを加えるために支払う金額としては絶妙で、たまの贅沢だったな。

 

今なら乳製品の栄養分がわかるけど、若い頃は体も丈夫だったので、その価値は後回しでした。こちら本格バーガー店のチーズ代は200円ちょっと、贅沢しようかな。

 

ふわふわで焼き目も香ばしいバンズに始まり、サワーソース、助演のチーズ、主演のハンバーグ、トマト、レタス、再びバンズまで、断層を愛でつつ紙袋におさめる。

 

口の縦幅まで軽く押し潰して、ガブリと齧りつけば、それぞれが主張しつつも、全体が調和する絶妙な味わい。アメリカに行ったことないけど、たぶん遜色ないだろう。

 

マックのハンバーガーと本格ハンバーガーの違いは、天地ほどの差ではない。個人的には立ち食いそばと神田藪そばのように、価格なりの満足度のグラデーションです。

 

さて、チーズといえば、トマトの酸味、ハンバーグの肉汁などとうまく調和して、お値段以上の主張を展開している。たまの贅沢に成功し、気分のよいまま食べてゆく。

 

途中マスタードとともにポテトをつつき、さっぱり酸っぱいピクルスで舌を洗う。ちょうど満腹になる頃に食べ終え、コーヒーで余韻を楽しむ。うう、腹九分九厘だ。

 

ごちそうさまでした。