旅先では景色もご馳走である。呼吸ですら非日常であり、静かな高揚感が持続する。かわいい子には旅をさせろとはよくいったもので、いくつになっても旅は人を磨く。
その場合、自宅からの距離よりも、心理的にハレを味わえるほうが旅のよさが出る。ホテルに引きこもる北海道より、見慣れぬ都内のほうがワクワクするではないか。
そんなことを思いつつ、お台場でハンバーガーを頬張る。混み合う前に店に入ると、思いがけず窓ぎわの席に通され、レインボーブリッジや東京タワーを一望している。
イナカモノなので東京タワーはいつみてもテンションが上がるし、レインボーブリッジではフジテレビの全盛期、「踊る大捜査線」を思い出す。もう、20年前なのか。
あいにくの曇天だけど、それもまた一興。ウェイクボードや犬の散歩、走り回る子どもたちをみながらの食事も悪くない。ビルの夜景だけが東京の景色ではないよね。
肉専門店のハンバーガーは、当然にパティが肉厚で、バンズは持ち手の役割に徹しています。どこをどう頬張っても口中が肉に満たされる快感、健康でよかったと思う。
フライドポテトには、たっぷりとマスタードをつける。辛みより酸味が勝ったタイプで、ピクルスとともにしつこくなった口をさっぱりさせてくれる。ああ、シアワセ。
お隣さんは昼ビールを飲んでおり非常にうらやましく思うも、お台場からの帰り道は遠く、正気を保つためにもグッと堪える。もりもり食べ終え、水をグイと飲み干す。
同じ東京に住みながらも、ほとんど縁のない臨海副都心。せっかくきたので、お上りさん気分で、自由の女神、フジテレビ、ユニコーンガンダムなどを熱心に訪ね歩く。
そういえばヴィーナスフォートはもうないのか、観覧車好きとしては少し悲しいな。おや、なんかラスボスがいそうなタワマンが2棟立ってるけど、あれは何だろう。
ともあれ、帰路に乗ったりんかい線、東京テレポート駅の発車メロディが「踊る大捜査線」のテーマなのがちょっと嬉しい。当時、織田裕二の緑のコートに憧れたなあ。
思い出込みで、ごちそうさまでした。