今日も 来て しまった

おいしく食べて、温かい布団で眠る。しあわせのかたちを考える日々の記録

麺喰らう(その 1014)かき揚げきしめん in 住よし at 名古屋

 

名古屋名物数あれど、数あるなかのそのひとつ、きしめんは損をしている。うどん、そばと比肩するがゆえに、わざわざ名古屋まで来て食べんでもいいがね、となる。

 

とかく名古屋は個性派グルメが多いのが嬉しい悩みである。味噌かつ、どて煮の赤味噌系、小倉トースト外郎などの甘味系、ひつまぶし、手羽先など枚挙に暇がない。

 

麺類に限っても、味噌煮込みスガキヤあんかけスパ、鉄板スパ、台湾ラーメン、ベトコンラーメンなど多士済済、はっきり言って、きしめんまでたどりつけない。

 

しかし、きしめんはおいしい。関東とも関西とも異なる香り高いダシ、麺は独特の平ったさでフィットチーネのように唇を振るわせ、丼ぶりではカツオ節が舞い踊る。

 

初めて食べたのは、大曽根駅の汽笛亭、平成元年だったかな。部活帰りに立ち食い文化を知り、大人の階段を登ったようで、立ち食いだけに座りが悪かった思い出です。

 

で、いろいろ調べると、もちろん街のきしめん屋に名店があるのだけど、名駅の立ち食いを薦める声も多い。神田の薮もいいけど、立ち食いに名店が多い東京と同じだ。

 

今回の名古屋滞在は半日。夜は会食だから選べる食事はランチのみ。2食食べるほど中年の胃腸に元気はないし、吟味に吟味を重ねて新幹線ホームの「住よし」を選ぶ。

 

初見の券売機は左上を狙うのがセオリー、かき揚きしめん630円。暑いさなかに熱い汁か。逡巡するも、ええい、ままよとSuicaをかざす。便利になりました。

 

食券提出から30秒あまり、やってきたのは海老天入りの立派なかき揚げを冠にいただいたきしめん。新幹線ホームでは、素早い提供時間もサービスのうちなのだろう。

 

サバ、ムロアジ、宗田鰹というダシは店内でとるそうで、醤油とみりんのきいたカエシの香りが重畳されるおいしさの方程式。ひと口飲めば、ああ、塩っぱおいしい。

 

横浜駅の鈴一もおいしいけど、やはりカツオ節が泳いでこそ、名古屋のきしめん。ぽってりしたかき揚げは、玉ねぎ、人参、香り高い小エビの三位一体で、でらうま。

 

ズルズル、ピロピロ4きしめんをすする。青ネギのシャキシャキ感、味変の一味唐辛子、バキッと折れる割り箸…すべて旅情。630円、我ながら安上がりなシアワセ。

 

住よしの系列の爽亭が荻窪にあるけど、きしめんを取り扱っていないのよね。基本冷凍麺だし、池袋、上野あたりにはきしめんもあるのかな、ぜひ、確かめに行かねば。

 

ごちそうさまでした。