今日も 来て しまった

おいしく食べて、温かい布団で眠る。しあわせのかたちを考える日々の記録

麺喰らう(その 105)冷やしムジナそば

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冷やしそばを選ぶにあたり、たぬきか、きつねか悩むのはいつものこと。たぬきもきつねも要は油っ気なんだけど、どちらも個性的で捨てがたい。


ゆえに両者相乗りのムジナがお品書きにあれば必ずそれを頼む。きつね、たぬき単体より大体 50100 円お高いお値段といった相場かな。


さてさて、こちらの冷やしそばのツユはどんな味だったっけ?  


毎シーズン食べて、毎シーズン忘れてるな。まあ、いいや。おいしかったことだけ覚えています。


やってきたのは酸味にかなりのステータスを振ったツユ。こいつは冷やし中華級の酸味ですナ。


そば湯がついてこないところをみると、飲む前提ではないことがうかがえる。


揚げ玉はサクサク、油揚げはしっとり甘い。この両者を同時に頬張る贅沢。朕はどこのお大尽か?  なんて勘違い。安いシアワセをしみじみ味わう。


ナルトはもちもち、キュウリは清冽。涼しさとおいしさと心強さがひと皿に盛り込まれており大満足。そうそう、こういうのでいいんだよう。


あらかた平らげ、最後にお皿をすうっと持ち上げて、ワサビとお酢にまみれたツユをゴクリ。


残っていた揚げ玉が口内を幸福で満たす、美しい食事のエピローグ。


ごちそうさまでした。

定食春秋(その 57)カレーかつ丼

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富士そばはチェーン店ながらも縛りがゆるく、独自のメニューを出している店も多い。王将なんかもそうですが、店長の腕のみせどころで楽しい。


で、カレーかつ丼。カツカレーではなく、カレーかつ丼。ディスプレイをみれば、かつ丼の周りをカレーソースが取り囲むように配されています。


なるほど卵とじカツ丼とカレーライスを同時に頬張りたいというデブ界隈のココロをガッチリつかんだメニューだね。さすがに2種類は頼めないという奥ゆかしさの発露カナ。


さて、モーニング時間帯の意外なメニューですから、富士そばとはいえ時間がかかるのは覚悟のうえ。店内 BGM の演歌を聴きながら出来を待つ。


後客はうどん、そばのどちらかばかり。何か店側のルーチンを乱した気になって、勝手に申し訳なく思う。でも、魅力的なメニューを出すほうが悪いよナ。


待ち人きたる。やってきたのは思ったより小ぶりで瀟洒なひと品。カレーと卵の色が織りなすコントラストも悪かぁない。


まずは、カレーをひと口。うん、ちょっとモッタリとした昭和のお味。舌をカレーモードに切り替えて、リセットされた原点に来るような基本味。


お次は中央のカツ部分を。カツをスプーンで切り裂きパクリひと口。やや細めに切られているのがカツカレー仕様だね。おお、こちらはカツ丼そのもの。タマネギのシャキシャキもいい感じ。


あとは深く考えず、好きなように食べよう。


カレーとカツなんて、よくある組み合わせなのに、カツ丼成分が加わっただけで、別次元のおいしさになるネ。良し悪しではなく、方向性が変わる。


福神漬けとカツ丼の取り合わせも悪くない。ひと匙ごとに味が変わって、飽きないひと皿ですね。カロリーは半端なさそうだけど、悔いなどあろうか、いやない。


スープもスプーンでスゥっと飲むと、どこかそばつゆ風味でうれしい。そう、ここは富士そばなのだった。そば屋の矜持、ここにあり。


カツカレーではない、あえてのカレーかつ丼、おそるべし。


ごちそうさまでした。

麺喰らう(その 104)喜多方ブラック

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日本三大ラーメンというと、札幌、喜多方、博多といわれるようで、それぞれ味噌、醤油、豚骨スープがウリとなっている。


みんな違って、みんないい。どれもおいしいし、どれも都内で食べられるのだから、ありがたい限り。南関東からの出不精が加速しそうです。


さて、百万都市2つを向こうに回すと、さすがに喜多方の知名度は低い。


福島県会津地方、新潟や山形とも接する喜多方は、もっぱらラーメンの街として知られていると言って過言ではない。


ある意味、ラーメンに特化した街と言っては言い過ぎだけど、そのラーメンは不思議でおいしい。


透明なスープなのに豚骨。もっちもちの縮れ麺。チャーシューはシンプルに肉肉しい。あとはネギかメンマがのる程度のシンプルなひと品。


そんな喜多方ラーメンを久しぶりに食べようとやってきたのに「期間限定」の文言にやられて喜多方ブラックをポチリ。なんだ、ブラックって。仮面ライダー的なあれか。


以前食べた富山ブラックラーメンは、炭鉱労働者向けとかで、ご飯がススムようにしょっぱかった。おいしいんだけど、腎臓が悲鳴をあげた覚えがある。


さて、こちら喜多方ブラック。やってきたのは油で覆われているからか、湯気が出ていない丼ぶり。


ムム、黒い。醤油そのものではないかと思うほど黒い。摩周湖もびっくりの不透明度だナ。


レンゲですうっとスープを飲めば、予想通り。腎臓がエアマックス履いて逃げ出しそうなしょっぱさ。


コショウもデフォルトでかなりの量がかけられており、濃厚というか、パンチ力に満ち溢れている。


麺は極太、うどんのようなちぢれ麺。すするたびに、甘い油と濃いスープをまとって口に飛び込み、唇をテラテラに染めあげる。


チャーシューを頬張れば、キシキシとした食感を残しつつ、脂身はほろほろと崩れて舌ざわりがいい。


極細メンマもコキコキとおいしく、チャーシュー&メンマでどんぶり飯が食べられるネ。


夢中になって食べているうちに、ふと気づく。丼のフチが雷文だ!  なんかこう古風というか泣かせる演出。これだけで味が 1.12 倍くらいはおいしく感じるねえ。


おいしかったけど、必ずや喉が乾くなコレ。腎臓ちゃんに詫びを入れてから、レンゲでふた口スープを飲む。うう、うましょっぱい。


去り際に、グラスの水をおかわりしたのが、せめてもの自分への言い訳。


ごちそうさまでした。


定食春秋(その 56)ことこと煮込みハンバーグ

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表面はカリカリに焼け、フォークで切れば肉汁がジュワーっと。ほどよく赤みの残った肉をかみしめれば、旨味があふれる。


ハンバーグというと、いつの間にやらそんなイメージ。間違ってない、むしろ正しい認識。でもハンバーグの原体験ってそんな素敵なものだっけ?


昭和の子どもとしては、イシイのおべんとクンで十分ごちそうだったなぁ。食が細かったけど、うれしくて、タレをご飯にまぶして食べたっけ。


母親がつくるハンバーグも懐かしい。豚肉に赤みが残るのを許さない母は、とにかくハンバーグを煮込んだ。


焼き目などない、旨味はスープに溶けだす、それでも赤みを除くことが最優先されたハンバーグ。


スープにケチャップを入れて煮つめるので、旨味がすべて抜けるわけではない。でも、肉汁ジュワーは高級レストランの秘儀、幻の技だと思っていた。


さて、前口上が長くなりましたが、ランチメニューの煮込みハンバーグにそんなことを想う。


両親ともに魚好きだったから、わざわざ子どもの好みに合わせてくれてたんだなぁとしみじみ。


ではでは、まずは赤だし。ダシがきいて、豆味噌らしいほろ苦さがたまらん。箸を湿らせたところで、キュウリの漬け物でご飯をひと口。滋味、滋味。


お次はベジファーストで野菜サラダを半分ほど。しそドレッシングがきいてます。あと半分はハンバーグのソースに飽きたときのお口直し用。


さて、メインのハンバーグ。スプーンでパッカリと半分に割ると、均質に火の通った美しい断面。


ひと口大に切り分け、ドミグラをつけてパクリ。日本料理じゃないのが嘘のようにご飯に合う。


付け合わせのポテトにもドミグラをつけてカリカリ食べる。こいつぁ、ご飯もいいけどビールが合うだろうねえ。


ドミグラをまぶしながらハンバーグを食べ、追いかけるようにご飯を口に入れ、ひたすら噛む。時に漬け物や味噌汁をはさむものの、基本はハンバーグご飯。


煮込まれて、肉団子っぽくなっているのが、かつての家庭の味が思い出されておセンチになる。


おふくろの味なんて言葉はウェットで好きではないけど、舌に刷り込まれた記憶は取り除けないネ。


大根おろしに明太子という、世が世なら主力となりうる小鉢も嬉しい。チビチビ食べたご飯がさらに足りなくなるゥ。


さて、お口直しにサラダを片づけ、最後は漬け物とご飯でしめる。


良くも悪くも、におい、音、味なんてのは記憶を取り戻すトリガーとして優秀ですね。昼間っから昔語りがしたくなりました。


ごちそうさまでした。

麺喰らう(その 103)冷やしたぬきそば

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新しくできたこちらの立ち食いそば。当然ながらはじめての夏、はじめての冷やし麺。楽しみ、楽しみ。


タッチパネルの券売機から迷わず冷やしたぬきを選択。


そう、どの店でもまず冷やしたぬきを頼むことで、味の比較、相対化ができるのです。な〜んて、好きなだけの言い訳ですが。


ワサビがずいぶんたくさんついてくるな。全部溶くとさすがに鼻にきそうなので、半分くらいにとどめる。


やはり、店によってワサビのききは違います。はじめてだとどれくらい溶いたものか、図りかねますからね。


ネギはシャキシャキ、ツユに漬け込んでおいて後半戦のお楽しみにしよう。


錦糸卵はちらほら白身まじりで、出来合いっぽくないのがイイね。ほどよい空胞がツユを吸って、おいしくいただけます。


揚げ玉は小さな真ん丸タイプで、よく麺にからみます。この手の形には珍しく意外といつまでもサクサク。朝イチだからか、油も新鮮な気がする。


そうそう、肝心のそばは、ザ・立ち食いそばといったオーソドックスな仕上がりで、ニンマリ。


後半戦用に漬け込んでおいたネギとからめながら食べると、麺の風味がより際立って楽しい。


これこれ、こういうのでいいんだよ、と大満足の一杯。今日の活力をチャージして、おしごと頑張りますかね。


ごちそうさまでした。



麺喰らう(その 102)冷やし中華+マヨネーズ

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本格的な夏を前に、あちらこちらで冷やし中華が始まっている。


ギラギラの太陽と、アスファルトの照り返しを避けて、ふらふらと店に吸い込まれると、壁には冷やし中華の貼り紙が。よしよし、ここはお手並み拝見といこうか。


よどみなく注文したのち、これまた壁に「マヨネーズ無料、冷やし麺などに〜」の貼り紙を発見。


なるほど、東海地方あたりではメジャーな食べ方だし、そもそも冷やし中華の具なんてサラダみたいなもんだしね。


マヨラーではありませんが、トッピングはひと通り試すのが主義なので、ちょっとためらいがちにリクエスト。心のなかでは小躍りしてますケドね。


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やってきたのは、ザ・冷やし中華といった風情のひと皿。カラシがえらく多いけど、1か所が辛くなりすぎないよう、2分割してすべて溶かす。


肝心の陣容は、きゅうり、かまぼこ、錦糸卵、チャーシュー、紅ショウガ、マロニー。彩りよし、栄養たぶんよし。では味を確認しようかな。


まずはマヨさんをスーっと往復しつつかける。お好み焼き屋さんのような、細い流線が描けて楽しい。プロユースだな、これ。


つるりと麺をひと口。オーソドックスな細麺がタレによくからんでおいしい。だが、ここで、伏兵のカラシが自己主張を忘れない。


トッピングを最大限に生かす主義が仇になり、あまりの辛さに口に入れたぶんをすべて吹き出しそうになりました。危ない、危ない、すんでのとこで出禁になるとこだ。


ともあれ、カラシがよくきいているとわかれば、それなりの食べ方はある。ガバガバと口に入れず、鼻から空気をゆっくり抜きながらそろそろ食べる。


うん。冷静になれば、酸味のきいたタレ、マヨネーズの旨味、カラシのアクセントが三位一体で麺と具材を包み込むグッジョブなひと皿。


ついつい、カラシを全部溶いた私が悪いんだけどサ。和カラシだから揮発も早くて、やがてツユも飲めるような辛味に落ち着く。


ともあれ、結論としては冷やし麺にマヨはあり。むしろ推奨。


ただ程度問題かな、なんでもマヨ味にするのが正義ではないし。たまに、味を変えるアクセントとして使うくらいでいいのかもしれない。


おいしく食べ終えると、すっかり乳化したタレが皿に残る。押し戴くように持ち上げて、ひと口、ふた口、余韻を楽しむ。カラシマヨネーズ、まいうー。


ごちそうさまでした。



麺喰らう(その 101)冷やしたぬきそば

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暑い日のお昼は冷やしそばに限る。きつね派、たぬき派ありますが、できれば悩まないですむムジナ。


頼めば出してくれそうなもんですが、小心者としては裏メニューのようなムジナの有無を確認できず、壁に貼られた季節メニューから冷やしたぬきを選択。


水をちびちび飲みながら、通常メニューをみているとたぬき丼(揚げ玉のとじ丼)があるではないか。コイツは珍しい、今度食べてみるかな。


などと言っている間にやってきた冷やしたぬき。こちらの揚げ玉は口に刺さりそうなエッジの効いたタイプ。天かすって呼ぶほうがしっくりくるネ。


まずはそばをほぐして、そろそろとすする。


はじめての店での冷やしはツユを見極めないと、酸っぱいタイプではむせ混むからな〜とか心配していると、こちらはツユはそば湯で割らずとも飲めるほんの少し濃いめのツユを冷やしたタイプ。


食後にツユをいくらか飲めるように、按配してワサビをとく。やはりワサビのツンデレ感がないと引き締まらないよナ。


主役のたぬきはサクサク。油っぽさとダシが口福をもたらす。これで午後も労働できそうだね。


山菜、ナメコ、ワカメ、きゅうりも脇役とは思えない働き。特に山菜、水煮だろうが何だろうが、久しぶりの君は嬉しいゾ。


白く細い更科そば。品のよさがあふれる麺を手繰り、淡麗なその味に紅ショウガでアクセントをつける。無尽蔵に食べられそうな錯覚を起こす。


さて、ウズラの卵。たまには錦糸卵じゃないのも楽しいな。コイツは鶏卵と異なりひと口でパクリ。ウズラちゃんは黄身と白身がバランスよく食べられてイイね。


おっと、カニカマがいた。食べればほろほろと崩れる、ちょっとお高い系。


カマボコにされ、着色のうえカニを名乗らされた、名もなき白身魚には気の毒だけど、おいしい。


食べているうちにモロモロに溶けてゆく揚げ玉。器を持ち上げ、サクサク部分とともにかき込めば、スナック菓子を袋から口に流し込むあの感覚。


トレビアーン、おいしく完食。ツユをいくらか飲んで、なお器に残る具を突っついて、未練を断ち切る。


冷やしそばの季節は、汗かきがちでイヤんなるけど、各店舗の個性を味わうだけで救われるかな、すこし。


明日(のそば屋)はどっちだ?


ごちそうさまでした。

定食春秋(その 55)カレーライス

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今日は朝からカレー腹なのである。お昼休みを告げるベルに、とらわれの心と体取り戻して街並みをゆく。お目当てはないけど、ゆっくりできるところがイイナ。


ふと見れば、いかにも学生街の喫茶店といった風情の店に空席が。チャンス到来とばかりに滑り込み、カレーライスを注文。


ランチタイムはこれ1本だからか、厨房へは「ひとつ、お願いします」だけで注文を通してました。なるほど、老舗っぽい。


クラシックが流れる、薄暗く静かな店内。静かに雑誌を読む人、談笑する人びと、後客の応対をする店員さん。こう、様式美過ぎて眠くなる。zzz


程なく、らっきょう、福神漬けの小皿が運ばれてきて、ムードが高まる。ウキウキ。セイロン風カレーっていうけど、付け合わせは和風なんだな。


やってきたのは、いかにもカレーというひと皿。真ん中を陣取る肉塊とジャガイモが威風堂々としています。


ソースが右手、ライスが左手になるよう 90 度回頭したのち、いざいざいただきます。


おっ、こいつはピリ辛。ふだん子どもたちに合わせた生っちょろいカレーを食べてる身には余る光栄だネ、


カレーソースにニンマリしつつ、時折ジャガイモをスプーンで割りながら食べる。後入れホクホクじゃ。このほかに野菜なし、ウムいさぎよし。


汗がじわーっと出てくる辛さはちょっとした快感。塊り肉もスプーンでほろほろと裂けて、断面に地層のようなきめ細かい繊維が見える。ひと口噛めばキシキシと歯ごたえよく、歯茎が弾力に大喜び。


福神漬けの甘みは辛さを中和し、らっきょの酸味は辛さをひきたてます。カレーライスはついつい飲み込みがちなので、意識してよく噛む。


もう、鼻に抜けるスパイスの香りたるや、陶然とします。


グラスの水が甘露のようにはたらき、カチャカチャと食べ進めるうちに、ライスは残りわずか。


ついつい勢いよく食べたけど、セイロン風ってどのあたりなんだろう。スリランカのことらしいけど、スパイスの調合とかだろうか。おいしけりゃいいけどネ。


さて、こちらのお店は単なる平皿ではなく、縁が高いので、最後までご飯がすくいやすい。名店ならではの静かな心配りが嬉しい。


食後のアイスコーヒーは、ガムシロップを入れようとほろ苦さが確かで、カレーの後味を華やかに消し去る。梅に鶯のごとく、カレーにコーヒーは鉄板の組み合わせですねえ。


ごちそうさまでした。

麺喰らう(その 100)らーめん

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ラーメンっていつからマウントの対象になったんだろう。


新店ができればすぐに食べログで点数化され、数多のラーメン本への掲載がステータスとなり、行列が行列を呼ぶ。


そりゃあ、おいしい、お値打ち、口に合わない、いろいろある。お金と時間をかけるからには、それなりに気分がいいのに越したことはない。


私も食事をブログにあげているので同じ穴のムジナだけど、基本的にはみんな違ってみんないいというスタンス。評価は私ではなく、店の存続というかたちで下されていると思う。


さて、駅前の路地を入ったところにあるこちら。東京ラーメン、の文字にひかれてフラフラ入店。


手書きのメニュー、ダンボールを利用した POP、カウンター越しに見える沢山の鍋やら調味料。店長ひとりで頑張ってます感が滲み出て好感。


チェーンではない、個人店ならではの造作。これも良し、とする度量を持たないとどの街も金太郎飴になっちゃうもんね。


奥では謎の角瓶からウイスキーが注がれ、ハイボールがステアされる。


家庭の冷凍庫から出したような氷だけど、つくりたてのハイボールは香りがたっておいしい。コレが井川遥ならもっとおいしい、のかも。


さて、肝心のラーメンは、かなり熱いスープに黄色い縮れ麺が泳ぐシンプルにして、王道を行く一杯。


彩りは小松菜かな。東京ラーメンを名乗るからには、江戸野菜がのっているほうがそれらしいネ。


ツルツル麺をすすれば、淡麗なスープによくからんで胃にしみる。メンマはクニクニ、チャーシューは思いがけずしょっぱく、ハイボールによく似合う。


行列のできるラーメン店もいいけど、フラッと立ち寄って食べられる、こういうのでいいのだ系ラーメン。


これで英世先生でお釣りが来るんだから、ありがたや、ありがたや。


ごちそうさまでした。

定食春秋(その 54)競馬場のもつ煮込み

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散歩でもしようと府中に向かうと、あいにくの雨。


これが新宿のような繁華街なら地下でも歩いていれば雨をしのげますが、都下だとそうもいかない。ちょっと考えて府中競馬正門前駅から東京競馬場へ向かう。


駅から巨大な馬券売りビルまで親切に屋根がついているので、傘なしでウロウロするならちょうどいいんだナ、これが。


JRA はさかんに若者向けのCM をうってるけど、実際まわりをみれば、宣伝関係なくやってくるであろう鉄火場らしい紳士淑女が多い。まあ新規顧客開拓という意味では、CM は正しいカナ。


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おっ、ディープインパクト


さて、競馬というのはギャンブルといえばそうですけど、血統を重んじるブラッドスポーツの側面もあるわけで。


戦前は軍馬の育成を目的としましたが(=長距離馬が主眼)、現代では馬産地を有する富裕国ならではの文化といえます(=短距離馬の台頭)。


さて、JRA。売上金の25%をテラ銭(寺銭。ひいた残りを配当に回す)に巻き上げ、馬券売り場のビルをガンガンと立て替えてます。


まあ、宝くじのテラ銭ときたら 50%ですから、良心的とはいえましょうか。


さて、そんななか東京競馬場も、家族連れや若者を意識して、フードコートのような店舗を誘致しています。ラーメン、サンドイッチ、唐揚げ、うん、どこもおいしそう。


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雨煙るなかスタンドから観戦するとたまたま障害レース。落馬すれば悲鳴があがり、騎手なき馬が飛越すれば笑いが起こる。なるほど、生の迫力はいいもんだ。


スタンド観戦後、メモリアル 60 というちょっと古い建物(といっても 20 年ほど前は新築だった)に向かうと、昔ながらの店構えの飲食スタンドがいくつか残ってます。


なぜか駅ビルに入っている個人の青果店精肉店のような既得権益的なイメージですが、それはさておき、こういう雰囲気のほうがが私の舌には合いそうだ。


おっ、ここの吉野家は BSE 問題のときも、国産肉を使って牛丼を提供し続けたトコだな。その節はわざわざ食べに来た記憶が。ただ、大盛しか扱いがないので、今の腹具合ではキツイ。


そこでいただくのは、ギャンブル界隈によく似合う、もつ煮込み。なんでだろう、語呂合わせもとくにないんだけど、オジサンとの親和性なのかな。


ともあれ、鉄火場にはもつ煮込みがよく似合う。っていうか実際には鉄火巻なんて、滅多に売ってないケド。


閑話休題、注文するや否や、店員さんが手慣れた手つきでプラスチックの器にザバザバ注いでくれる煮込み。


トングでネギを散らせば、ものの 20 秒で到着。同じタイミングで頼んだハイボールが追いつけないほどの提供速度です。


まずは、七味を多めに振りかけて、割り箸をパチンと割る。この勢いって、食事をおいしくするおまじないだよねー。


メインの豚もつはクニクニ、脂があま〜い。コンニャクは歯ごたえよし。大根はホクホクでよく味がしみてます。ここでハイボールをグイ。


せっかく競馬場に来たので、馬券もつまむくらいには買ってある。モニターで、ちらちらとレースを見ながら立ち食いする。我ながら、なかなか場に馴染んでるんではなかろうか。


結果はともあれ、参加することに意義がある。鉄火場だもの)


さてさて、七味をたっぷりかけてあるので、底に近づくにつれ刺激が強くなり、これまたハイボールに似合う。


最後は醤油のきいたスープを左手で飲み干し、右手ではハイボールでグイッとおいかけて完食。


ビルを隈なく歩いて、頃合いをみて馬券を買って、いい散歩だね。雨も弱くなってきたけど、メインレース後は混み合うから早めに引き上げようかな。


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ごちそうさまでした。