今日も 来て しまった

おいしく食べて、温かい布団で眠る。しあわせのかたちを考える日々の記録

麺喰らう(その 229)らー麺

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ラーメンか、らーめんか? 何が正しいのかわからないなんて尾崎豊ばりの葛藤を抱いていましたが、らー麺ときたか。こいつぁ一本とられたネ。


何度もきているのに、いまさらながら気がついたよ。などと不明を恥じつつ、いつも通りに、メンマ、もやしをトッピングで追加。


こちらは製麺所の営むラーメン店で、なんと大盛が無料。周りはみな大盛にしているけど、もやしトッピングはかなりの量なので自重する。


壁に向かったカウンターで木目を眺めつつ、到着を待つ。ワイドショーは何やら小難しいことを言ってるけど、TV が見える角度でもない。


さて、やってきましたマイらー麺。てんこ盛りのもやしとメンマににんまり。スープは勝手知ったるので、まずは麺をズルル。安定のおいしさ。


魚介系のスープをシャキシャキもやしにまぶして、ベジファーストのつもりで食べすすめる。もやしは豆から発芽するけど、野菜でいいらしい。


イチゴやスイカもらー麺のトッピングとして成り立つのだろうか、いや、それはないな。などと愚にもつかないことを思いつつ、もやしを食べる。


半分食べたところで、メンマのターン。増量すると通常の3倍ではすまない分量になるのよね。支那竹というくらいだから、これも野菜だよネ。


麺は大盛にしなくともかなりのボリューム。いそいそ食べていっても、まだ、ある。とっておきのチャーシューを食べ終えるころ、綺麗にお仕舞。


いや〜おいしかった。らー麺だろうと関係ねエ。小島よしおのように思いながら、箸を置く。相変わらずのワイドショーも置いて、席を立つのだ。


ごちそうさまでした。

麺喰らう(その 228)たぬきそば

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週イチペースのたぬきそば探訪。そばの風味、つゆのダシ、揚げ玉の様相。店ごとの個性が際立っていて楽しい。そう、はっきりと楽しいのだ。


チェーン店、独立系、立ち食い、テーブル、いろいろあれども基本的にたぬきそばは安価である。かけ、もりの次にたぬき、きつねの位階だね。


こちらは注文を受けてから揚げ玉をつくるのか、チリチリと音がしたままやってくる。サジですくってパクリ。カリカリ、サクサク、痛いくらい。


濃いめ、甘めのつゆはドンピシャの好みで、七味を振りかけても決して負けない。細切りの麺ともよくからんで、ズルズル、アチチと食べていく。


ホウレン草は、彩りとしても野菜としても優秀だね。プリプリの蒲鉾、甘い縦切りねぎがウチは立ち食い店とは違いますんで、な〜んて矜持だな。


あらかた食べ終える頃になると、揚げ玉はモロモロになってつゆを漂っている。尖った若者からまぁるいオトナになりましたといった進化です。


これまたサジですくっていくらか食べる。つゆの味に油分が溶け出して、当初の味からまた深みが出ていて、たぬきそばはますます奥深いな。


ごちそうさまでした。

麺喰らう(その 227)きつねうどん

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あまり眠れず、やさしさに包まれたい朝、そばではなくうどんを選ぶ。いつもは好ましいそばの風味ではなく、うどんの包容力が恋しいナ。


当たり前だけど立ち食いそば店は、何も言わなければ基本的にそばが出てくる。朝からグッタリなので、会話しなくてすむ券売機の店を選ぶ。


今朝は天ぷらはキツいな。漢方薬がわりにカレーうどんがいいかな。おや、カレー丼はあるのにカレーうどんはないのか。なんでまた、不可解な。


ともあれ方向転換して、きつねを食べよう。油分ではあるけれど、あのやわらかさならちょうどいいかも。ヨシヨシ、ピッと食券を買う。


食券の提出場所が「そば」「うどん」それぞれに分かれていて、何も言わずともよいのです。と、思いきや「うどんですね?」と確認が入る。


まあ、仕方ない。確認は大事。はい、と力なく返事して水をくんで席に着く。ふう、朝から疲れてるな〜。風邪気味なのかな、自覚はないけどサ。


さて、こちらは、そばつゆで食べるうどん。関西のようなダシでなく、讃岐のようなコシでない、真っ黒つゆがウリの、正調・関東風うどん。


スーパーの袋麺を茹でたような、やわらかいうどん。喉越しとか、きいたこともないっすわーと言いそうな、いさぎよいソフティうどん。


するする、もぐもぐ。唇で押しつぶせる弾力のなさが心地よい。油揚げは予想通りに甘く、胃も心も安らぐ。ここらで口をつけてつゆをゴクリ。


醤油とみりん、ガンガン入れときましたっていう感じのつゆ。ドス黒いと揶揄されますが、だがそれがいい。今日のオナカにピッタンコ。


弱ってるのは、人にやさしくしてもらえないからかな。この歳になると誰もガンバレとは言ってくれないから、自分にやさしくしてあげよう。


ごちそうさまでした。ガンバレ!

定食春秋(その 149)車海老のフライ

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おいしかった洋食屋さんの跡地に新しい店が。気になって入れば、ほぼ居抜きの様相で、テーブルやイスは以前のママですね。何もかも懐かしい。


さて三種のランチから車海老のフライを選ぶ。何となく洋食屋さんの基本っぽいし、ワクワクするな。静かなクラシックが流れる店内で待つ。


前の店は NHK が点いてたな、なんて思いながら壁をみれば謎のリキュールやウイスキーの空き瓶が並ぶ。国産ビール党なので価値はわからんヨ。


程なくやってきたマイランチ。おや、みそ汁のお碗がやたら大きいナ。ひと口飲めばダシは薄めですが、玉ネギがトロトロで、ご飯に合いそう。


さて、サラサラとしたソースをかけて、まずは車海老をガブリ。よく見えなかったけど、尻尾がついてますね。身はプリップリでほんのり甘い。


うーん、エビの頭を食べたいけど、ヒゲが喉に刺さるのが怖いなぁ。味噌を吸うようにかじりつくけどまどろっこしい。面倒だ、食べてしまえい。


よーく噛みながらエビ味噌を堪能する。濃厚な味のお供がビールでなくてご飯なのが無念だね。みそ汁は飲みきれないので具だけさらえて食べる。


後客の OL 三人組の途切れない会話では、ここ何を食べてもおいしいよ、あれ、店が変わってるかも、メニューが違うなどと戸惑いの声があがる。


居抜きは以前の店と比べられる運命です。伊佐坂先生の前の浜さん一家なら記憶も薄かろうけど、こちらはまだ記憶に新しい。頑張って欲しいな。


ごちそうさまでした。

定食春秋(その 148)自家製・イカ焼き&チューダー

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まんが道は名作である。藤子不二雄を中心としたトキワ荘の青春記であり、漫画黎明期の民俗学的資料の価値もある。一読しておいて損はない。

藤子不二雄Aによる作品ですが、時おり描写される食事のようすが見逃せない。はじめての納豆、近所のラーメン、メンチカツを挟んだパンなど。


ンマーイ、っておいしそうに食べるわけです。そのなかの1つ、チューダー=焼酎のサイダー割りも、実際に試してみればこれまたンマーイ。


甘〜いチューダーのアテには、お祭りの屋台で出すようなジャンクさがふさわしい。若者の胃袋を乱暴に満たす、血気盛んなイメージ。


で、スルメイカをさばいて、たこ焼き粉をまぶす。イカのたこ焼きだな、などと思いつつフライパンで揚げ焼きにする。おお、すでにいい匂い。


油を切ったら、余っていたしらす丼のタレをかけて完成。アチアチのうちにつまみ食いをすれば、コリコリしたイカとサクサクの衣が好相性。


ここに急いでチューダーを流し込めば至福のひと時。再びンマーイ、目尻も下がりますワ。スルメイカが1杯しか売ってなかったのが悔しいな。


しらす丼のタレのほのかなショウガ風味もきいてる。蒲焼のタレと悩んだけど、こちらで正解。さばくの大変だからこんどはゲソだけ買いこもう。


チューダーは甘いので、いわゆるオカズとは相性がよくない。こういう、簡素な酒の肴のほうが真価を発揮するネ。うれしい、楽しい、大好き!


まんが道が読みたくなったけど、枕のような分厚い愛蔵版全4巻は実家の押し入れ。仕方ないので長渕のホールドユアラストチャンスを聴こう。


ごちそうさまでした。

麺喰らう(その 226)宮崎らーめん

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宮崎といえば、東村アキコ高千穂峰そのまんま東冷や汁、チキン南蛮、炭火焼き、シーガイア。どこまで連想してもラーメンの印象はない。


そもそも九州には博多、熊本など豚骨ラーメンの名地が多いから宮崎にそれを求めていなかった、反省。豚骨ベースは変わらぬようで期待する。


やってきたのは、同じ豚骨でも横浜の家系のような一杯。博多とはやはり異なるのネ。おろしにんにくを入れ、ゴマをふりかけ、まずはスープを。


臭みはなく旨味ばかりのスープですね、中太ストレート麺がぴったり。このスープは、元阪神メッセンジャーの持論に反して、もやしに合う。


にんにくを溶くと味の質が上がる。藤真が加わった翔陽ほどではないけど、丸井が加わった墨谷くらいだな。ともあれ豚骨にはにんにくが似合う。


麺を小休止して、味の濃いチャーシュー、クニクニのメンマでサワーをグビグビ。ノリにスープをたっぷり吸わせて、麺を巻いてアテにしたり。


楽しんでいると残るはスープのみ、浮かぶもやしを丹念に食べる。宮崎に行ったら食べないであろうラーメン、東京でおいしくいただきました。


ごちそうさまでした。


麺喰らう(その 225)二色もりそば

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やっぱりそばが好きっ。なんの決意表明かはともあれ、結構な頻度でそばを食べている。とくに朝の出勤途中の立ち食いそばがおいしい。


しかし、朝にそばを食べるとさすがに昼は違うものを食べたくなる。麺類の連続には抵抗がないので朝そば、昼ラーメンなんてこともしばしば。


で、久しぶりの昼そば。こちらの店は実に久しぶりです。いわゆる本格そば店で、うどんがなければ、たぬきそばもないのが潔いところ。


更科と田舎の2つの味が楽しめる二色もりそばを注文。お茶をすすりつつ、壁のテレビをみつつ到着を待つ。ワイドショーはいつでも煽情的だな。


やってきました二色もり。白い更科はいわばそばの吟醸。繊細で細く、なめらか。いっぽうの黒い田舎はそばの全粒粉。やや太く、しっかり食感。


みんな違ってみんないいのだ。

まずは、更科、つゆのみ。次に田舎+ネギ入り。

さらに更科+ワサビ。しまいに田舎+七味。


少しずつ薬味を足して、味変を楽しんでいると、鉄瓶に入ったそば湯がやってきます。とろっとろのそば湯をいただけば、滋味、ルチンが満タン。


何というか、寿司店に持ち帰りや回転寿司、銀座の三つ星までいろいろあるように、そば店にもいろいろあっていい。ここは心の三つ星店ですヨ。


そばは茹でたてを手繰るのが一番。勿体ぶることなく、スルスル食べてサッと席を立つ。また、朝が立ち食いそばでないときに、こようかナ。


ごちそうさまでした。

定食春秋(その 147)中華丼

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健康のため野菜を1日350グラム食べろという。日高屋のタンメンであるまいに、かなりの量ですよ、それ。モヤシばっかりでもダメでしょう?


立ち食いそばや牛丼屋が主戦場だと、野菜が不足がちになる。かき揚げは野菜だよな、お新香も野菜だよな、などとにわかに野菜をカウントする。


そんな中年男性の悩みを抱えてのランチタイム。中華丼があるじゃないかと思い至る。本場中国にはないけれど中華っぽい餡のかかったニクイ奴。


野菜たっぷりの餡ですが、季節ごとに具材が変わるのも個人店ならではの楽しみ。今日の食材ナンジャラホイ、とカウントしつつ食べる。


白菜、ピーマン、長ネギ、にんじん、キクラゲ、青梗菜、タマネギ、ナルト、しめじ、タケノコ、椎茸。なんか、冬野菜の万博会場みたいだな。


思わぬ野菜天国にうれしい悲鳴をあげ、ひたすらに咀嚼する。シャキ、ポリ、ムニッ。食感もそれぞれでこれまた楽しい時間ですねえ。


中盤に差しかかり、目玉焼きを割れば、とろりと黄身が流れ出す。白身も餡によく合うし、いい働きをするなぁ。豚コマも今日ばかりは脇役かな。


小鉢にはトマト、ツナ、タマネギ。漬け物にはキュウリ、大根。なんなら中華スープにもネギ。さらに増える食材はすでに記憶容量オーバー級。


350グラムとれたかはさておき、向こう1週間は「野菜食べてるよ、おっかさん」と胸を張れるランチでした。ありがたくお茶を飲み、箸を置く。


ごちそうさまでした。

麺喰らう(その 224)たぬきそば

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再開発を待つ路地裏にたたずむ立ち食いそば。ずっと気になっていたけど、なんとなくタイミングが合わず、どことなく敷居が高かかった。


あるとき図書館でその店を紹介した本をみつけ、常連との結びつきの話を知る。一見さんには厳しいかな〜。でも京都の料亭じゃあるまいしな〜。


周辺のビルの取り壊しも始まったところで腹をくくる。旅の恥はかき捨てというし、そもそも一見さんなんていちいち気にしていないでしょう。


さて、初めての立ち食い店はたぬきそばに限る。個性が出るところだし、大成功もないけど、何より外れることもまずない。それがたぬきそば。


たぬきそばを注文し、先払いかもしれないので貼り紙で値段を確認、財布から小銭を取り出す。この小心さはきっと戦場なら役に立つだろうな。


お兄さんがそばを小袋から取り出し、手早く茹であげ丼ぶりに盛る。すると横にいたおかみさん風がワカメ、ネギ、たぬきを盛りつけツユを注ぐ。


当たり前のように繰り返されてきたであろう淡々とした所作、無駄のない丁寧な動きに見惚れる。仮に再開発されても移転して頑張ってほしいナ。


さて、肝心のそば。ツユはアチアチ、醤油がきいたタイプで実に好み。揚げ玉はサクサクの食感が楽しいうちにたくさん食べておこう。ズルズル。


壁のテレビが点いているのだけど、店の隅では常連風の女性がおかみさんとずっと話しこんでいて、聴く気はないけど聴こえてしまう。


やれ1日の食費がいくらで、アイツは好き勝手やってて、金がなくなるとタカリにくる。空いたカレーの器越しに、そんな話をずうっとしている。


なるほど、事前情報どおり、常連に愛されてるんだな。味はもちろん、おかみさんの人がらも店のウリだな。などとワカメを食べながら思う。


あっという間にそばを食べ終え、残る揚げ玉をかき集めるようにすすり込む。好みのツユなので、いつもより余計に飲んじゃうねぇ。


心配していたお支払いは食後。ごちそうさまとスツールから立ち上がり、カウンターに小銭を供える。また折をみて食べに来ようかな。


ごちそうさまでした。


定食春秋(その 146)四川麻婆豆腐とから揚げの定食

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やよい軒にはいくときはいつも朝。ランチタイムは混みあっているので、気になる期間限定メニューは必然的に朝に食べることになる。


で、四川麻婆豆腐とから揚げの定食。朝から重たい。ガンダムUC のマリーダさんの生い立ちほど重たい。例えはともあれ勇気をもって注文。


意外な注文なのか、朝定食に比べて時間がかかるナ。まあジャズの流れる店内でゆっくり待とう。このゆったり感こそ朝のやよい軒の付加価値。


残された半券にはのんきな「カラマーボー」の文字。こちとらお昼ご飯抜きのつもりで参戦してるんだ、覚悟はできている。さあ尋常にいざ勝負。


やってきましたトレイにはグツグツ煮えたつ土鍋が。旨辛地獄を予感しつつ、まずはベジファーストで野菜をいただく。お楽しみは後回しかな。


まん丸のから揚げはさっくり、ふっくら、ご飯のお供。二つ目は麻婆に漬け込んで様子伺い。おや味噌汁でなく、中華スープなのがにくいねェ。


さて、お楽しみはこれからだ。麻婆豆腐をすくって取り皿に入れ、カシュカシュと口に運べば、アツイ、ウマイ、カライ。思考が単純化するな。


幼い日々に親しんだ丸美屋のそれとは異なる本格麻婆。カライからイタイに通ずる思考の螺旋階段を登りつつ、おデコにじわりと汗をかく。


付属の辣油や花椒を足してみると、さらに凶暴さをのぞかせる麻婆。ご飯おかわり放題なので白米で薄める手もあるけど、そんなに食べられない。


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取り皿ももどかしく麻婆をお茶碗に入れ「直接ぶちこんでやる、食らえ‼︎」などと海南戦の桜木花道のセリフを吐きつつ、ミニ麻婆丼を作成。


壮健な若人ならエンドレスに白米が食べられるだろうな、麻婆の底力。足るを知る、おっさんならではの引き際、おかわりなしで打ち止めよう。


久々に胃の形がくっきりわかる刺激。ぬるくなったお茶を飲んで口中の辛みを取り去る。自らの選択とはいえ、昼抜きは必須の腹具合ですね。


今日は胃腸薬を飲んで、大人しくしておこう。でも、たまにはこういう刺激的な朝もいいカナ。寒空の下を歩けば、デコ汗が冷え込みますけど。


ごちそうさまでした。