今日も 来て しまった

おいしく食べて、温かい布団で眠る。しあわせのかたちを考える日々の記録

定食春秋(その 166)得朝ミニ牛めしお新香豚汁セット

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ミニ牛めし、豚汁にお新香がついた、名は体を表すお得なメニュー。損保ジャパン日本興亜とか、三菱UFJモルガン・スタンレー証券を思い出す。


対等合併感を出したいのかナ。大森と蒲田で「大田」みたいなシンプルさが欲しい。横浜Fマリノスまでいくとフリューゲルス感がないけどサ。


閑話休題、都内の松屋はほぼ『プレミアム牛めし」に切り替わっているので、小袋の「黒胡麻焙煎七味」がついてくる。これが味わい深い。


牛丼に半分、豚汁に半分ふりかけて、準備万端。まずは豚汁をズズッとすする。同じ松屋でも、みそ汁とうってかわって、濃厚かつ重厚なおダシ。


豚肉はもちろんのこと、豆腐、青ネギ、玉ネギ、ニンジン、ゴボウ、レンコンなど充実の具材。汁に浮かぶというより、具の間に汁があるのだ。


牛めしはプレミアムになって、吉野家に近づいた気がする。はい、牛丼は吉野家が一番おいしいと思っておりますネ。昭和生まれのサガです。


ともあれ、肉を横に寄せ、豚汁をおかずにご飯をもりもり食べる。おっと、漬け物も忘れずに。三角食べが心底身についている、昭和生まれです。


牛と豚、両雄並び立つことに感動。お新香、紅生姜を含めても野菜が大充実のこのメニュー、弱点は塩分が5グラムとちょっと濃ゆいくらいか。


最後は修行僧の如く、お新香で丼ぶりをぬぐって完食。あらかじめ淹れておいた、熱いセルフのお茶をゴクッと飲み干して席を立つ。


ずっと考えていたこのメニュー名、定番モートン定食とか、どうかな。あるいは三位一体定食。うーん、難しい以上に、オレ、センスないな。


ごちそうさまでした。

定食春秋(その 165)土鍋牛すじ玉子カレー

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ふと見かけた土鍋カレーの名にひかれ、メニュー選びに優柔不断なランチタイムにさらば。写真を見るに土鍋というより深めのグラタン皿かな。


ともあれ、メニューをみれば種類は数あれど、自分ではつくらないであろう牛すじを注文。辛さは5段階で真ん中を選ぶと、えっ、辛口なんだ。


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程なく呼び出しがかかり、福神漬けを添えて準備万端。グツグツ煮えたぎる土鍋からカレーソースをすくってかける。テンション上がってきたゾ。


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茶、赤、白のカレートリコロール。パクりと食べれば、味の方向性はエスニックではなく家庭カレーの延長線上。辛口だけあって、ヒリヒリ辛い。


2回目のソース降臨時は、玉子もすくい入れる。半熟でご飯にトローリ広がるまろやかさん。玉子ってしみじみ甘いナ、と気づかされます。


ソース追加も3回目。もう玉子という逃げ場はないので、辛さと真剣勝負。福神漬けをポリポリかじり甘さで中和しつつ、デコ汗をじわりとかく。


4回目、ラストソース。大きい牛すじがゴロリと入って嬉しい。ホントは途中で水飲みたくないけど、背に腹は変えられず、口を潤おす。


それにしても牛すじ。お値段も安いし、じっくり煮込めば美味しくなるのが保証されているけど、惜しいことに家ではなかなかつくらないよね。


煮込みが面倒といえばそうだし、何より専門店の出来栄えが素晴らしいのが大きい。この牛すじなんて、いいアテになること必至のクオリティ。


昼間っから酒のことを考えるというのも不謹慎というか、依存的というか。なんでもお酒のつまみ基準で考えるクセは改めないといけないな。


ごちそうさまでした。

麺喰らう(その 262)たぬきそば

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「たぬき」には2種類ある。天ぷらを揚げたときにオマケでできる天かす、天ぷら粉を単独で揚げてつくる揚げ玉。ま、どちらも風情があるよね。


たぬきそばを注文してどちらが出てくるかは時の運、というより店の方針。今日は天かす、明日は揚げ玉なんて店はなく、そこは一貫している。


さて、こちらの老舗はどっちだろう。食券を出すや否や、素早く温め直されるそば。そして奥で盛りつけが始まる。ドキドキ、ワクワク。


おっ、こちらは揚げ玉ですねえ。大小いろんなまん丸が浮いております。まずは七味をパラリとかけて、そばをズルズル、細麺がツユに合います。


しかし、揚げ玉はフワフワと海月の如く浮かび、一向にそばに絡まない。一網打尽にしてやるとばかりに、丼ぶりを持ち上げ、サラサラ流し込む。


ダシのきいた甘めのツユを吸った揚げ玉は、ひと粒ひと粒宝石のようにおいしい。揚げ油に溶け込んだ他の天ぷらの旨味を吸い込んでいるのかも。


ネギがつながっているのはご愛嬌。急がなくともいいのに、つい早食いになるそばの魔力。額に汗をかき始めた頃、そばは完食と相成りました。


食べ終えた後、オホーツク海を埋め尽くす流氷の如く、所狭しとツユに浮かぶ揚げ玉たち。かき集めてサラサラするも、さすがに食べきれない。


水をゴクリと飲んでカラダの熱気を冷まし、無念さと満腹感を秘めて、返却口へと丼ぶりを運ぶ。夏場に冷やしたぬきで完食リベンジしようっと。


ごちそうさまでした。

麺喰らう(その 261)証誠寺そば

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朝食のメニューは体調に聞くのがよい。調子のよい日ならガツンと定食類、胃もたれ気味の日ならツルツルいける麺類。宿酔なら欠食もある。


今朝のカラダはそばを所望している。不調ではないが、定食類は咀嚼が面倒かも、なんて。かき揚げはキツイかな、サラサラいけるのがイイナ。


で、選択は「たぬき玉子」。券売機に常設される合わせ技メニュー、たぬきだけでは栄養が、玉子だけでは食感が、なんてお方が多いのだろう。


たぬきが月見をするので、証誠寺そば。何度もいうけど、この組み合わせは私のなかでそう呼んでいる。そばって粋な名づけが多いからネ。


さて、こちらは立ち食いですが、朝は茹でたてを堪能できる。3分ほど待つと呼び出しがかかり、丼ぶりを受け取る。相変わらずの漆黒の月夜。


濃いめ、熱めのつゆなので、白身が固まり満月に雲がかかるのがいい。温まった白身をチュルリと吸い込み、黄身を泳がせてそばをすすっていく。


つゆを存分に吸った揚げ玉は自然とそばにからみ、ふわふわとした舌ざわりが楽しめる。たぬきそばの本懐ともいえるサラサラ食い状態です。


そろそろ中盤、黄身の出番ですナ。箸でぷすりと突き刺すと黄金の半熟がとろりと広がっていく。そばをからめて、そばボナーラにしてすする。


これは卵かけご飯のそば版だよナ。あらためて自分の嗜好に気づきながら、やがてそばを食べ終え、揚げ玉を少々飲み込んで、静かに箸を置く。


ごちそうさまでした。

麺喰らう(その 260)春盛り天そば

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街で春をみつけた。というと聞こえがいいけど、小諸そばの季節商品ポスターをみかけただけです。みせてもらおうか、限定商品の味とやらを。


春盛りですが具体的には、キス天、アスパラ天、筍と桜海老かき揚げだナ。桜海老はその名の通り桜の季節が旬だし、筍も今どきが旬ですね。


わからないのが、キスとアスパラ。調べれば春〜初夏あたりらしいので、春盛り天に加わって然るべきだねェ。ゆず七味を振って、いざ実食。


ツユと麺は安心、安定の小諸クオリティ。ズルズル食べたら、旬な春を味わおう。キスはフワフワながら魚の旨みがしっかり味わえますな。


アスパラはサクサクと歯ざわりよく、青臭さもちょうどいい。ホウレンソウと思って食べてみれば菜の花なのね。細かいところまで大サービス。


かき揚げはモロモロとツユに一体化していく。筍のコキコキした歯ざわり、桜海老の鼻に抜ける香りが素晴らしい。ツユを飲み干す勢いで完食。


コスパがいいとか悪いとか、そういう言い方が好きではないけど、ワンコインでこのクオリティなら、お得感に満ち満ちてますね。百点満点です。


ごちそうさまでした。



麺喰らう(その 259)ごぼう天そば

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旅の醍醐味は食事である。土地の雰囲気を味わうなら、胃袋にきくのが一番いい。文字通り、腑に落ちるってことです。とか言って横浜ですけど。


そりゃ横浜だって立派な三百万都市。地方から来たならステキな観光地ですけど、東京からだと通勤圏だし、小旅行と言うのですら牽強付会気味。


ともあれ、普段の行動範囲にない店を覗くのは楽しい。小売店はどこも金太郎飴のように同じ風景だけど、飲食店はかろうじて土地の個性が残る。


長々と前口上を述べましたが、こちら相模鉄道横浜駅構内にある「星のうどん」です。券売機の前に立ち、ワクワクしております。


博多風うどんを出すらしく、とり天、野菜天、ごぼう天など魅力的に居並ぶ。おっ、だましあいうどんなんてあるぞ。きっとムジナだろうなァ。


いくら悩んでも胃袋はひとつ。ウシに生まれたかったなんて思いつつ、ごぼう天を選択。普段使いの立ち食いそば店ではみませんから、ごぼう天。


食券を提出すれば手早く調理が行われ、水を入れる間もなくマイうどんの完成。ふふふ、つゆだけでなく、思わず笑顔もこぼれそうです。


澄んだツユがいかにも西のもの。ズズッと飲めば昆布、かつお節、煮干しなど淡麗なダシの深みがステキやん。思わず二度見ならぬ二度飲み。


私はどちらも好きだけど、あちらの人たちが、東京のうどんは黒いって嘆くのがわかる気がする。中間の名古屋に至っては、味噌で煮込むけどサ。


ともあれ、シャキシャキのネギ、モチモチのうどん、ザクザクのごぼう天がどれもおいしい。特にごぼう天はツユに漬かってもまったく崩れない。


卓上のすりおろしショウガで味変して、あっという間に完食。近所にほしいな〜こんな店。出先で食べたから、味わいも何割か増しなのかもね。


横浜へ行って博多うどん食べてる私に旅情を語る資格なんてありませんが、大事なことだからもう一度言います。旅の醍醐味は食事である(笑)。


ごちそうさまでした。

麺喰らう(その 258)唐揚げそば

 

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府中駅前は再開発で一変した。かつての雑多な商店街が消え、伊勢丹や映画館などができた。しかしその伊勢丹も撤退、新たな岐路に立っている。

 

そんな駅前ビルの一角に、朝早くそば屋が営業している。以前ケヤキ並木沿いにあったあの店だなと懐かしく、朝ごはん食べたけど入店しちゃう。

 

券売機前に立って、しばし悩む。たぬき、かき揚げ、揚げもち、など魅力的なメニューの下段に、おや、唐揚げそば。物珍しさもあり、ポチり。

 

食券出してカウンターのスツールに座ると、店員さんがそばを運んでくれる半セルフ店。丼ぶりの上にはそば、唐揚げ、以上。潔さが気持ちよい。

 

カウンターにあるネギを入れ、七味をかけ、いざ箸を割る。そばは茹で置きのフワフワ系。ツユはダシがきいてて、唐揚げの断面によくしみる。

 

唐揚げは、こぶりながらも半裁されて、華やかに丼ぶりを彩る。しっとりとした衣が油をツユに与えており、ネギと一緒に食べるとおいしい。

 

競馬開催がない休日なのに、ひっきりなしにお客さんの出入りがある。朝早くからあいているメリットだねぇ。競馬開催日はさぞ混むだろうナ。

 

ごちそうさま、と席を立てば、店員さんが「ありがとうございました〜」と素早く下膳にやってくる。なるほど、再開発なんのそので続くわけだ。

 

なんと気持ちのいい店だろう。ご機嫌なまま大国魂神社を参詣、遅まきながら正月のしめ縄をお焚き上げしてもらうべく、初穂料を入れる。

 

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…そば代ぶん、小銭が減っており、オオナムヂに心で詫びる。帰りしな、宝物館前の枝垂れ桜が咲き誇っており、春満開を心身ともに浴びました。

 

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ごちそうさまでした。

定食春秋(その 164)スマトラカレー

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神保町はカレーの有名店が多い。出版社が周りに多く、自然と雑誌での露出が多いので、と言われます。学生の頃は、価格的に高嶺の花だったナ。


で、人気の老舗は昼どきを外しても相席。メニューをみれば、ポーク、チキン、ビーフ、エビ、タン。悩むな〜、ハヤシに逃げたくなるな〜。


飲食店は一期一会、ここはお高いけど入口の看板から気になっていたタンにしよう。二十数年知っている店に初めて入ったんだから、贅沢しよう。


コーンスープを飲んで待っていると、すぐにやってくるスマトラカレー。スマトラってそもそもナンダ? と調べればインドネシアの島でした。


大粒のらっきょうと、大根の福神漬けをご飯にのせる。7種類の野菜を使うから、七福神にかけて福神漬けのはずだけど、まあ本筋には関係ない。


黒いカレーをご飯にかけてパクリ、おっ、かなり辛いネ。スパイスの複雑さもあるけど味のコクがすごい。どことなく、フルーツの香りがする。


タンは当然とろける。歯がいらないなんて言い方もあるけど、さすがに歯は欲しい。でもこれだけとろけてくれれば、贅沢して本望です。


カレーの味を語るほど語彙はもってないけど、ひと言で言えば、深い。何がと言われると困るけど、舌先ではなく、舌の奥に響く感じの味です。


長年こちらに足が向かなかったのは「昼どきは子ども連れはご遠慮〜」と書いてあるのが気になったから。回転が悪くなるから、わかるけどサ。


この手の老舗店の食べログをみると、店員の態度が〜、相席を強要〜、なんて書いてあることも多く、どうしても先入観になっちゃうんだよね。


個人的には、相席でも構わないし、店員さんもにこやかにレジをしてくれたし、とても楽しい食事でした。これまでの先入観が勿体なかったな。


唯一の欠点は、満腹すぎて、胃もたれしたこと。


ごちそうさまでした。

麺喰らう(その 257)チャーシューメン

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アラフィフならば、ゴルフスイングは「チャー、シュー、メン」で行うはず。いやまあ、レッスンで直されてるかもしれないけど、基本はね。


ちばてつやの名作「あした天気になあれ」の主人公・向太陽が、ゴルフスイングを学ぶ際、好きな食べ物になぞらえてテンポを覚えたわけです。


ゴルフ人口の減少はさておき、かつてチャーシューメンはごちそうでした。右から始まるラーメン屋のメニューなら、最後尾の左端に待ち構える。


昨今は、二郎系を中心にこれでもかといった肉系ラーメンが多いけど、かつての憧れは捨てられない。何というか、在りし日の宮沢りえ的な。


さて、こちらでも麺類は焼きそば、ラーメンから始まり、タンメン、もやしそばと来て、チャーシューメンは五目そばと並ぶ最高位につけている。


いいのヨ、脂がトロトロしてなくても。繊維がキシキシしてて、歯に挟まっちゃうようなチャーシューでさ。昭和ノスタルジーで、いいんだよ。


やってきたのは、ザ・チャーシューメン。黄色い卵麺に、黒い鶏ガラスープ。具材といえばネギ、メンマ、ナルト、ノリの歴戦の猛者、同志たち。


主役のチャーシューは充実の5枚。ライスつきなら按分を考えるけど、何はなくともまずひと口。うーん、ギッシリ、赤身のおいしさです。


ツルツル、もぐもぐ。淡々と食べる。あの頃の未来で、憧れのチャーシューメンをためらうことなく食べる。噛むほどに滲み出る肉の旨味たるや!


あっという間に食べ終え、丼ぶりの底にメンマがないかつついて確認。おっ一本発見。ひとしきり終えると、お茶を飲んで店をあとにする。


宮沢りえは高嶺の花のままだけど、チャーシューなら手が届くな。オトナになるのも悪くない、そんなことを思うランチタイムでした。


ごちそうさまでした。

麺喰らう(その 256)たぬきそば

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チェーン店ならいざ知らず、おしなべてそば屋の夜は早い。朝が早ければ夜も早くなるのは、まあ理解できる。そばの鮮度の問題もあるだろう。


こちらの立ち食いの老舗も、19 時には店仕舞い。気忙しかったであろう昼間とは打って変わって、閉店近いせいか、のれんをくぐると客は私一人。


いつもなら天ぷらが並ぶだろうショーケースも閑散としてるナ。そんなの関係ねぇ、とばかりにたぬきそばを頼めば、そばが手早く茹で直される。


天かすをトングで徐につかみ入れ、ネギをひとつまみ。オタマでアチアチのツユを注ぐと、我がたぬきそばの御成りです。箸をパチンと割る。


こちらのたぬきは天かすと呼ぶのがふさわしい。どの天ぷらの一部だったかはわからないけど、キシキシ歯応えよく、ツユをじわじわ吸い込む。


あっついツユで煮え煮えのネギも味わい深い。すべての基本となるツユは、醤油、みりん、ダシがキレイな三角形を描いているようなバランス。


カラカラと引き戸が開き「げそ天ある?」とのオジサマの声。売り切れと聞いて立ち去ったけど、よほどげそ天が食べたかったんだな。


AM が淡々と流れる店内。店仕舞いも近く、店主がじゃぶじゃぶ洗う音が響く。淡々と、粛々と。しかし、生き生きと小ぶりな一杯を食べ終える。


老舗のツユの魔力につい飲み干しそうになるけど、塩分を考えて自重する。今度はげそ天を食べようかな。売り切れなら、たぬきでいいけどサ。


ごちそうさまでした。