今日も 来て しまった

おいしく食べて、温かい布団で眠る。しあわせのかたちを考える日々の記録

定食春秋(その 394)得朝ミニ牛めし豚汁セット in 松屋 with とろろ

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「トロロ! あなた、トロロって言うのね!」


孔子なら天命を知るお年頃ですが、いかんせん、小人なので牛丼にトロロを合わせるとおいしいことを知る程度の日々です。


思わず冒頭のダジャレが浮かぶほど、その相性はバツグン。そういえば、牛タン定食にトロロが欠かせないのだから、さもありなん。


卵かけご飯がそうであるように、本来固体であるものがツルンと飲むように食べられる。消化には悪そうだけど、心は満たされる。


ミニ牛めし+豚汁のセットに選べる小鉢。これまでなら、ガッツリ牛皿やカレーソースを選ぶところですが、トロロが恋しいお年頃。


まずは、豚汁に七味をざぶざぶ振ってひと口。ダシがきいており、根菜もたっぷりでバファリンよりやさしさに満ちている。ズズズ。


コンニャクや豆腐もあつあつで、うまいというより甘い。同じ松屋でも味噌汁と一線を画するクオリティ。豚汁は冬の季語ですねえ。


ミニ牛めしには、紅生姜をチラリ。ガツガツかきこめば、さっぱり肉としっとり玉ねぎが嬉しい。半分くらい食べたところで、トロロの準備。


少し醤油をさしたトロロを牛めしにかけ、ツルツル食べる。野趣あふれる、トロロのザラつきがいいね。飲んだらいかんけど、飲んじゃう。


これがワンコイン足らずだから、けっこうシアワセ。トトロとの出会いは幼な子ですが、トロロの味がわかるのは大人の特権ですね。


ごちそうさまでした。

定食春秋(その 393)山かけトロロ丼と蕎麦

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蕎麦屋で一杯」は、大人の嗜みである。ビールで天ぷらを喰み、そば焼酎でそば味噌を舐め、日本酒でそばがきをチビチビかじる。


〆には、もりそばとそば湯もいいけど、かけそばのツユを飲んで酔い覚ましなんてのも悪くない。でも、残念ながらお天道様は高い。


午後の仕事もあるので、壁一面の銘酒の一升瓶に秋波を送りつつ、手元のメニューに目を落とす。丼ぶりとそばのセットがお得だな。


カツ丼、カレー丼しらす丼、天丼。どれもおいしそうだけど、にわかにマイブームの山かけトロロ丼に、たぬきそばをつけるかな。


先日食べたラーメンは限定だったのだろう、すでにメニューになく、一期一会だったな。代わりの四万十産のうな丼がおいしそう。


ふとみれば、お隣は昼間っから瓶ビールを飲んでおり、コロナ禍が落ち着いたのだとしみじみ思う。夜の客足は戻ったのだろうか。


さて、うずらの玉子がかわいらしいトロロ丼をさじでパクリ。ダシの香り、トロロの野趣が感じられて、青さの風味もかぐわしい。


もったりと粘り気があり、ごはんが進む。ついつい飲むこむように食べちゃうけど、トロロはともかく、ごはん粒は胃によくないな。


壁のポスターに「新そば入りました」とあり、お楽しみのたぬきそば。ツユはあっさりなので、シンプルな味でそばがひきたつ。


もはや、そばというより味噌汁代わり。ざぶざぶごはんをかきこんで、ズズズッとそばをやっつける。新そばが泣き出す雑な扱い。


一方で、お隣さんは天ざるですか。天ぷらでビールをやっつけ、ざるでしめるわけだね。大人のそばの嗜み方、見習いたいもんです。


ごちそうさまでした。



麺喰らう(その661)ラー油の肉つけ蕎麦

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年越しには気が早いけど、師走も押し迫ると、またぞろそばが食べたくなる。考えることは皆同じなのか、いきつけのそば屋さんは混雑中。


どうしたものかと歩を進めると、気鋭の創作系蕎麦屋さんに空席をみつける。袖擦り合うも多生の縁、ここで会ったが百年目で入店。


豆乳、担々、とんたま、ネバネバ。百花繚乱の創作そばのなかにあり、自ら「邪道も是非お楽しみ下さい」と謳うラー油蕎麦を選ぶ。


初めてだけど、店の本気を試すべく、肉蕎麦にしよう。一期一会の精神です。+50円のランチセットで、そば飯、そば茶を追加する。


ほどなく、突き出しで切り昆布、カレー風味牛蒡、大根の煮物がやってくる。どれもおいしく、確かな実力がわかり、蕎麦が待ち遠しい。


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国産蕎麦粉を用いた十割蕎麦、無添加のつけ汁、ルチンの効能書きなど、お店のこだわりを読んでいると、やってきましたラー油肉つけ蕎麦。


黄身が中央に鎮座しており、思わず、そうきたかと唸る。箸を入れれば、色濃い蕎麦に黄身がとろけ、見た目だけでおいしいのがわかる。


まずは蕎麦をそのまま。凛と角が立ち、プツではなくミシとした歯ごたえ。つけ汁につければ、ダシの旨みとラー油の香りがたまりません。


お肉はたっぷりで嬉しい。単体で食べても焼き肉風味だけど、つけ汁をまとわせればなおおいしい。揚げそば入りのそば飯が進むなあ。


途中で、味変用の辛子肉味噌を溶けば、なんともワイルドな旨み。唇にしみるラー油が、師走の寒空に負けぬよう、体を温めてくれます。


最後にそば湯をいただき、冷たいそば茶で喉を清める。いつもの町そば屋さんとは違う、見事に昇華された創作系蕎麦もおいしいな。


王道の醤油ラーメンもいいけど、攻めた二郎系もおいしいのに似ている。食べ物を食べ物で例えるのもなんですが、しみじみそう思う。


ごちそうさまでした。


麺喰らう(その 660)大粒カキうどん

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豊かな森が、海の恵みを育む。ざっくりいえば、森林の肥えた土壌の栄養が、川を通じて海に流れ込み、魚介類の栄養となるらしい。


食物連鎖といえばそうだし、SDGs とも結びつく話です。里山ならぬ里海づくりとして、環境省ホームページにも掲載されています。


主語が大きすぎて実感がありませんが、目の前のメニュー「気仙沼直送 大粒カキうどん」をみて、そんなことを思いましました。


室根山から気仙沼湾に注ぐ大川が、名産のカキをおいしくする。美味しんぼでも紹介されたけど、個人的にも旧室根村は思い出深い。


学生の頃に縁があり、3週間ほど室根に滞在しました。カキは季節外れだったけど、国技館やきとりでしられる名産の鶏肉は食べました。


あの年はやませが吹き荒んで、真夏なのにストーブを炊いたっけ。でも、杉林で螢がクリスマスツリーのようにキラキラキレイだったな。


さて、感傷はほどほどに。やってきたうどんに鎮座するカキは、言うだけあって確かに大粒。ダシを飲めば、すでに潮の香りがします。


大福くらいありそうな、プリップリのカキをひと口かじれば、予想どおり、いやそれ以上に旨みが飛び出し、いつまでも噛んでいたい。


うどんはモチモチで、この牡蠣のふっくら感にはそばより合うかもしれないな。たっぷりのワカメは、ザクザクした歯ごたえです。


海のミルクと呼ばれるカキの栄養価を殊更に書き連ねても仕方ない。何より嬉しいのは、おいしくて、ヘルシーであること。ありがたい。


里海の取り組み、輸送の発達、おいしく作る料理人。すべてに感謝しつつ、ペロリ完食。そのうち、室根や気仙沼に行かなきゃな。


ごちそうさまでした。

麺喰らう(その 659)叉焼雲呑麺

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「俺たちは機械じゃねえ」「話はすべて聞かせてもらった」とは、漫画「それでも町は廻っている」に出てくる、一度は言ってみたいセリフ集。


確かに、ドラマや映画ならではのカッコいいセリフは、日常で試してみたくなります。シャア語録ならば、応用もききそうだしね。


自分ならどうだろうと考えると「この店で一番高い酒を持ってこい!」ですね。私が行くような居酒屋なら、たかが知れてるので安心。


これがホストクラブならば、ウン十万円のドンペリが出てきて、えらいことになるのかな。などと愚にもつかないことを思うお昼どき。


ラーメン店でメニューを右から眺めれば、支那麺、雲呑麺、高菜麺、叉焼麺と徐々にお値段が上がり、高菜雲呑麺、叉焼雲呑麺が最高峰。


連日の4桁オーバーは緊張しますが、コロナ禍で忘年会もないし、ランチで少し贅沢してもバチはあたるまい。叉焼雲呑麺に狙いをつける。


よく見ると、雲呑の数が5個か3個を選べるらしい。一番高いもの理論では当然5個を頼むべきだけど、ここで日和ってしまい3個を注文。


正直いえば、食べ切れないのが怖くて。とはいえ、店の最高峰近く。山ならば K2北岳あたりを登っているのだと自分に言い訳する。


しばらくしてやってくる、大きな丼ぶりの一杯。ダシは淡麗なのに塩っぱいスープをまずひと口。叉焼と雲呑で麺が見えないのが心強い。


叉焼をよけて、細麺をツルツル。いつも通りにおいしい。コキコキと歯ごたえよいメンマ、ショリショリのネギも名脇役の働きです。


さて、主役のひとり、雲呑。ヒラヒラの皮をトゥルトゥルと頬張れば、中の餡はドッシリした歯ざわり。水餃子と一線を画す味わい。


お待ちかねの叉焼は肉厚で、実に食べ甲斐がある。キシキシと繊維質が確かで、適度な塩っけは、白飯に合うだろうなと確信する。


まあ雲呑2個すら自重する中年の胃には、白飯は持て余しますね。後客は5個入りを頼んでおり「これが、若さか」とシャアばりに涙する。


若い頃は、財布に小銭ばかりだったし、食に興味もなかった。食の大切さを痛感する年頃では、お金はあれど、胃がついてこない。


兎角に人の世は住みにくい。まあ、目の前の一杯に罪はありません。ルイボス茶でクールダウンしつつ、おいしくいただきました。


ごちそうさまでした。

麺喰らう(その 658)鴨濃厚担々麺 フォアグラ・辣油かけ

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お酒を嗜むようになり、自然と「効率のよいアテ」を求め、珍味へとたどり着いた。いかくん、チーかま、うずらの卵などが主戦場。


しかし珍味の語義「滅多に食べられない、珍しくおいしい食べ物」からすると、もう少し、非日常感というか、高級路線が望ましい。


日本三大珍味ならば、ウニ、カラスミ、このわた。農林水産省のウェブサイトでも紹介されているからには、由緒ある珍味といえる。


一方で、世界三大珍味はフォアグラ、キャビア、トリュフ。中華三大珍味はアワビ、フカヒレ、ツバメの巣。いずれも高級路線です。


で、こちらの立て看板。「フォアグラと胡麻が広がる濃厚なコクと旨味スープ、ピリ辛な辣油が心地よい華やかな一杯」。情報量が多い!


鴨ラーメンがおいしい店なので、ハズレはないでしょう。千円は気軽なお値段ではありませんが、後学のためにも試してみようかな。


「担々麺〜」とオーダーが通り、セルフの水を舐めつつ待てば、程なくやってくる。おお、丼ぶりも情報量が多い! まずはスープを。


おお、おいしい。鴨スープのうまみ、胡麻の濃厚なコク、辣油の鮮烈な辛味など、情報量の多さがそのまま舌まで波及してきました。


細ストレート麺をすすれば、当然鼻に抜ける華やかな味わい。クキッとした麺は歯ごたえよく、濃密なソースのパスタを食べる気分。


真ん中に鎮座する塊こそ、お楽しみのフォアグラ。少し切り出して頬張れば、おお、カリカリで香ばしく、レバーらしいねっとり感。


これは珍味。ビールが欲しくなる。いやいや、赤ワインでもいいな。などと煩悶するランチタイム。漱石先生を使った甲斐がありました。


鴨ダシによく似合うネギ、シャクシャク楽しい青梗菜、一服の清涼剤となるプチトマト。どれも必要にして十分な働きです。


フォアグラに潜む花椒の痺れが、緩んだ頬を引き締める。ご飯を入れておじやにしたいこの味は、もはや珍味ではなく美味でした。


ごちそうさまでした。


麺喰らう(その 657)ざるそば in 富士そば featuring 乱切り蕎麦

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団塊ジュニア世代なので、同世代人口が多く、受験や就職は競争が激しくそれなりに苦労した。その一方で、娯楽には事欠かない。


クリスマスの時期にはおもちゃ屋のチラシが華やかで、ファミコンCD など新しい媒体の恩恵も受け、いまは購買力を狙われている。


細かい説明は省くけど、アスレチックランド、チクタクバンバン、ゲーム&ウオッチなど、憧れのおもちゃは誰にでもあっただろう。


なんでそんなことを思うかというと、こちら富士そばの乱切り蕎麦。実際に蕎麦切りしているわけでなく、押出式製麺機から出てくる。


それがちょうど、かつての「ゆかいなとこやさん」を思い出させるのだ。粘土が人形の頭から出てきてそれを切るだけの、簡素なおもちゃ。


押し出された蕎麦は、そのまま茹で汁に落ちている。同業の嵯峨谷も導入しており、いわゆる立ち食いの麺よりも、一段上の仕上がり。


で、ざるでツルツルと手繰る。冬場のざるは清洌な味わいで、打ちたて、茹でたての乱切り蕎麦は角が立って、海苔の香りをまとう。


うちのサンタは、押し入れに隠しておくから、クリスマス前にプレゼントがバレバレだったな。おもちゃではなく、漫画数冊だったけど。


そんなことを思いつつ、ワサビを溶かしたり、七味をふったり、ネギを加えたり。忙しく薬味を駆使すれば、ざる1枚なぞあっという間。


カウンターのポットからそば湯を注いで、体を温めてる。あっ、写真撮るの忘れた! 店前の食品サンプルをパシャリ、代用です。


ごちそうさまでした。

麺喰らう(その 656)明日葉天そば in 高幡そば

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「雑草という草はない」とは昭和天皇のお言葉。どんな草にも名があり、生があるので尊重しなさいというお人柄がわかるお言葉です。


で、高幡そば名物の明日葉天そば。収穫しても、明日には生えてくるから明日葉。その強い生命力にあやろうと、券売機でポチリ。


明日葉は伊豆七島が産地だけど、ミツバやヨモギならその辺の土手に生えているかもしれない。なんというか、不思議な気がします。


山菜摘み、キノコ狩りなど、自然の中で食料を瞬時に見分けるのは、特殊能力ですよね。先人たちのトライアンドエラーに感謝です。


さて、やってきた明日葉天そば。七味をふってまずはそばをズルズルと。ツユもそばも、いい意味で安心のザ・立ち食いクオリティ。


無難なおいしさにほっこりしたところで、大きく口をあけ明日葉天をガブリ。カリコリした食感の後に、鼻を駆け抜ける一陣の草原の風。


ビール、コーヒー、春菊、ゴーヤ。苦いがうまいと思える、苦み走ったいい男です。明日葉の野性味あふれる味わいもまた、絶品ですね。


ツユに浸かると天ぷらはハラハラと解け、そばとともにかきこむ。天ぷら油で唇をテラテラにしていると、店員さんの会話が耳に入る。


「焼豚入りのかき揚げ」「つくるのは面倒」「まあ、食べられる味」など、わずかな単語から内容は断片的だけど、なんか楽しそう。


ともあれ、明日葉に限らず、道端に食べられる草が生えていても気づけないけど、味わいは満喫できました。文字通り、雑食ですから。


ごちそうさまでした。

麺喰らう(その 655)親子らーめん

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親子丼ときけば「とろとろの卵と、しっとり鶏肉がたまらないよね。彩りの三つ葉、シャキシャキの玉ねぎも欠かせない」となる。


「えっ、違うの?じゃあ、脂ののったサーモンと、プチプチいくらのハーモニーだよね。ご飯が進んで困っちゃうやつ」ともなる。


では、親子らーめんならばどうか。「鶏がらスープに煮卵かなすると、結構いろんな店で出してるよね。みたことないけど」となる。


勿体ぶっても仕方ないのでネタバラシすれば、鶏の唐揚げと味玉が同居したひと品。ありそうでなかった、盲点ともいうべきネーミング。


こちらは長崎直送の「焼きあご」すなわち飛び魚から出汁をとり、海藻、キノコ、各種節、肉などを用いた繊細かつ上品なスープがウリ。


久しぶりに来たので、なぜ親子らーめんを出すに至ったのかはわかりません。でも揚げ物+炭水化物とくれば、男子たるもの必食です。


お隣さんは「親子の大盛り」を頼むなど、店のユーザーには当たり前の風景らしい。楽しみに待てば、どーんとやってきました。


ひい、ふう、みい唐揚げはたっぷり5つあるので心強い。まずはスープを飲めば、あっさりながらも深い旨味があって、感心する。


細麺をすすれば、青さのおかげか、どことなく潮の香りがして相変わらずおいしい。では、唐揚げをひとつ、食べてみるとするかな。


アチアチ、ハフハフ。下味は薄めで、ラーメンと食べてちょうどいい塩梅。カリカリの衣、ふわふわの肉質、適度な脂身など文句なし。


ズルズル、ハフハフ食べ続け、卓上の「ゆずこ酢」こと、柚子胡椒とお酢ブレンドをかければ、途端に、辛っ、旨っ、と味変です。


かけすぎると繊細なスープが台無しになるけど、この刺激は実に好み。熱っぽい口の中が、さらに活性化しますね。水を飲んで小休止。


ここいらで、唐揚げと煮卵を一緒に頬張れば、押しも押されもせぬ親子らーめんを実感。お腹いっぱいにシアワセを詰め込めました。


ごちそうさまでした。


麺喰らう(その 654)天ぜいろ

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連濁。耳慣れない言葉ですが「2つの単語をつなげたとき、あとの単語の頭の子音が濁音化すること」です。なんのこっちゃ、ですね。


Wikipedia に詳しいけど「親子喧嘩」「山寺」「鼻血」など例えは枚挙に暇がない。例外はあるけど、発音しやすいのでそうなるらしい。


世の中のあらゆる事象が言語化されていることに驚く反面、自分の知らない知識がまだまだ沢山あるのは、どこか怖い気がしますね。


で、天ぜいろ。これぞ天ぷら+せいろの連濁ですね。熱いつけ汁に、冷たいそばの組み合わせは間違いない。ウキウキと待ちわびる。


まずはつけ汁に浮かぶ三つ葉をパクリ。和風香草の本領発揮で、鼻に抜ける野趣溢れる風味がたまりません。お雑煮が食べたくなるな。


そばを持ち上げ、少しだけツユをつけ、一気に啜り込めば、そばの風味と清涼感のあと、甘塩っぱいツユが彩りを添える。おあしいなあ。


小ぶりな海老天をかじれば、ミシミシと海老の歯ごたえがしっかり。衣から油が滲み出すので、つけ汁がさらにおいしくなるのよね。


そばをどっぷりとつければ、また、違った料理かと思うほど味が強くなる。濃淡を楽しむうちに、せいろはあっという間に空っぽです。


残る海老天を尻尾ごと噛み砕き、そば湯を飲めば贅沢な余韻。食後にたぷたぷの「太鼓腹」をさすれば、これも連濁なのだと気づく。


ごちそうさまでした。