冷やしそばというと、要は冷えたツユが “ぶっかけ” になっただけでしょう? とか思うけど、そうではない。
ツユにひと工夫もふた工夫もあるのだ。温そばとほぼ同じ店、濃いめ少なめに振った店、やや酸味に振った店など、店の個性が出て面白い。
一般的には夏メニューだけど、通年取り扱う店もあります。“冷やし中華始めました問題” もこうしたら解決なのにネ。
いずれにせよ、ちょっと気候が暖かくなると、またぞろ、冷やし魂に火がつきます。
で、冷やしきつねそば。
こちらのお店は老夫婦2人で切り盛りしていて、お冷やは出ません。卓上にはそば湯がヤカンで置いてあるだけ。武骨な、でも懐かしい店構え。
やってきたのは、ちょっと濃いめのツユがかけられたタイプ。 麺は太いの、細いのまちまちで、それが食感のアクセントになってうれしい。
肝心な油揚げは、ダシがジュワー系ではなく、あっさりした味つけのブツ切りがゴロゴロと。麺=ご飯、揚げ=肉のようなコンビネーションで、交互に食べるのがちょうどいい。
冷やしきつねというものの、ひそかに天かすも入っており、じつはムジナ。ネギもほどよくツユにつかり、シャキシャキとおいしい。
濃いめのツユをチビチビ飲みつつ、麺を完食。残った天かすとねぎを丁寧につつくと、残るはやはり濃いめのツユ。
やおらヤカンからそば湯をサラサラ注いで、丼ぶりを持ち上げ、グイッとひと口。温そばのツユと似て非なる、そば湯で薄めたツユ。おいしいネ。お腹を冷やしすぎないのもいいよネ。
ごちそうさまでした。