のれん分けというと、独立とか、分裂よりも穏やかな響きがある。チェーンほど画一的でなく、互助会さながら、相撲部屋の一門のような印象。
で、物々しいそば屋家系図がかけられた、こちらの街そば屋さん。おかめそばを注文したのち、日本史の教科書みたいだな、と思いつつ眺める。
こちらのおかめはどんな顔かな。カレー南蛮などは立ち食いでもみかけるけど、おかめはまず取り扱いがないので、みつけたら食べてみます。
気持ちのよい接客の店員さんが運んできたのは、おかめそばと、紙製のマスクケース。これは気の利いたサービス、嬉しくマスクを仕舞い込む。
主役のおかめ。ご尊顔ははっきりしないけど、青菜、筍、蒲鉾、お麩、しいたけ、ナルト、卵焼きなど、街そば屋ならではの充実のひと品です。
かえしよりダシのきいたツユ、丁寧に細切りされたそば、しみじみおいしい。この香りはゆず皮ですね。ほんの一片なのにいい仕事してますねえ。
そばをたぐっては、色とりどりの具材を食べてゆく。味のしみたお麩、肉厚な椎茸が白眉ですね。最後にちょっとぬるくなった番茶をゴクリと。
ごちそうさまでした。
★しばらくは、孤食のグルメ&お蔵出しです。