百獣の王がライオンならば、魚の王様は鯛であり、川魚の女王は鮎らしい。鮎の味は生まれ育った川の苔の味がするというけど、本当かな。
たしか鮎は河川ごとに、漁獲の解禁日があるんですよね。こちらがどこの鮎かは存じませんが、苔の味わいとやらを堪能させてもらいましょう。
鮎といえば「美味しんぼ」の京極さんを思い出す。ふるさとの鮎を食べて「なんちゅうものを食わせてくれたんや、なんちゅうものを」と涙する。
そこまでなら美談だけど、それまでおいしいと言っていた鮎を「これに比べると山岡さんの鮎はカスや」などとくさすのはよくない。思い出には勝てないよ。
美しいお姿で登場した鮎定食。尻尾の飾り塩が頼もしい。串焼きならお腹からガブリといくけど、さて、どうしたものか。逡巡したのち、頭からガブリ。
マナー講師にみられたら叱り倒されそうだけど、野趣溢れる食べ方に我ながらしびれる、憧れるぅ。バキバキと頭を噛み砕け、うなれアゴ筋、頑張れ奥歯。
正直、苔の味どころではなかったのですが、ふた口目からが本番。淡麗な身、ハラワタの苦味がしっかりおいしい。ご飯よりもビールが似合う味だよね。
鮎をかじっては、骨を噛み砕き、白米を口に放り込む。ようく口内調味すると、繊細な味がよくわかる、気がする。味噌汁を飲むと定食として完成します。
とはいえオカズヂカラが弱めなので、椎茸や昆布の佃煮も大活躍。塩たっぷりの尻尾で最後のごはんをやっつける。まっさらなお皿、店のひと、驚くかな?
ごちそうさまでした。